That Certain Feeling/John Patton | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 60年代から活躍してきたJazz Organ奏者の中でも'Big' John PattonことJohn Pattonの存在というのは大きい。 60年代前半から本場米国で大きな人気を博す所謂Soul Jazz、分けてもHammond B-3を取り入れ泥臭くSoulfulなSax奏者ギタリストと組み合わせた黒光りするコテコテの路線は、未だに多くの愛好家を生んでいるが、PattonがBlue Noteに残してきた作品はいずれも通好みの作品で、イナタい雰囲気に浸りたい時、思わず手に取ってしまうのだ。Missouri州西部のKansas City生まれのJohn Pattonは教会のピアニストの母親を持ち、高校を卒業するとプロを目指して西海岸へ向かい活動を開始することにした。Washington, D.C.で出会ったLloyd Priceのバンドのピアノ奏者としてプロの仕事が始まり、そこでみっちり叩きこまれたPattonは59年に独立する。Hammond Organの魅力、特にそのBass Lineに憑りつかれたPattonは同年に自らのHammond Organ Trioを立ち上げ、Blue NoteのIke Quebecらの協力によって、ギタリストGrant Greenと演奏するようになる。そしてLou DonaldsonのSidemanとして64年までの3年半を過ごすことになった。63年にはBlue Noteから1stリーダー・アルバム『Along Came John』をリリースする。Harold VickとFred Jacksonの2管をフロントにGrant GreenのギターとBen Dixonのドラムスで泥臭くEarthyに迫る作品だ。続く『Blue John』では2管はTrumpetのTommy TurrentineとSaxのGeorge Braithに代わったが、Grant GreenとBen Dixonとは、その後も続いてアルバムを制作し、Pattonのリーダ作以外でもこの3人が揃えばSoul Jazz黄金のTrioといっても過言ではないほど黒々とした素晴らしい作品を生み出している。さて、美女が意味ありげな微笑みを浮かべているジャケットが魅力的な本作はギターがGrant GreenからJimmy Ponderに代わっている。これはどうなるかと思っていたがPonderがGreenに負けじと大健闘してご機嫌な作品となったのである。

 

 『That Certain Feeling』はJohn PattonがBlue Noteからリリースしたアルバム。Tenor SaxにはThe Horace Silver Quintet出身のJunior Cook、ドラムスにはSun Ra ArkestraClifford Jarvis。そしてギターにはGrant Greenに代わってJimmy Ponderという布陣である。アルバム全6曲中5曲自らの作品で固めたところにPaattonの意欲が伺うことができる。Pattonといえば上述のようにSoul Jazz路線が思い浮かぶのであるが、本作はよりStraight Aheadな方向を向いてHard-Boiledな雰囲気すら漂うところも個人的にはツボとなっている。

アルバム1発目はご機嫌なThemeから始まる“String Bean”。Junior CookのSaxソロもJimmy Ponderのギター・ソロもイナタさ十分

I Want To Go Home”はイントロでPonderのHarmonics奏法Hammondのベースが醸し出す雰囲気が激カッコイイJazz Waltz。Ponderのソロが素晴らしい。勿論、Pattonのソロも最高である。Ponderのカッティングがメチャクチャ気持ち良い。

Early A.M.”はFunkyなギターのRiffのイントロから一転、Hard-Boiledな雰囲気で迫るナンバー。バンドに緊張感を与えるClifford Jarvisドラミングが素晴らしい。Ponderのソロもイイ感じ。

Bossa調の“Dirty Fingers”。哀感漂うありがちな曲調ではあるが、CookのTenorが、この手の曲では実によく歌う。一方Ponderのソロはキレキレ。Pattonのプレイも

ご機嫌にSwingする、そのタイトルも“Minor Swing”。

アルバム最後を飾るのはScoland出身のTrumpet奏者Jimmy Watson作の“Daddy James”。艶っぽいPonderのギター・ソロが冴えまくり。

(Hit-C Fiore)