Smokin'/Curtis Fuller | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 ジャケットのCurtis Fullerの笑顔がイイ感じ。Mainstream Recordsから前作『Crankin'』に続いて録音された本作は、正にこのジャケットのようにRelaxした心地良い演奏が楽しめるお気に入りのアルバムである。Fullerといえば、Art BlakeyのThe Jazz Messengersのメンバーでもあり、正にHard Bopが円熟の境地に達した時代を駈けぬけてきたTromboneの名手にして才能のあるComposerでもある。Huskyで暖かみのあるTromboneの音色歌心に満ちたフレージング。それらが生み出す寛ぎ感がたまらなく魅力的であるMusicianだ。生まれ故郷のDetroitから20代前半New Yorkにやって来て、あっという間に第一線に踊り出し、リーダー作も含め数々の名作を残してきた。FullerのTromboneは華麗なテクニックや先鋭や洗練といったところから距離をおいた、FunkyでEarthyな味わいが、個人的にはツボなのである。さて、時代は70年代になり、Jazzを取り巻く環境は大きく変わってしまった。Mainstream Recordsに移籍したFullerが71年に録音した第一作『Crankin'』では、なんとリズム隊にReturn to ForeverのメンバーとなるStanley ClarkeLenny Whiteを迎え、George Cablesにエレピを弾かせ、エレキ・ギターを弾くBill Washerを参加させているのだ。そこには、これまでとはうって変わった、時代の先を切り開こうとFullerが四苦八苦している姿があった。決して悪くないアルバムであり、むしろ先駆者としてのFullerの冒険心は評価に値するのである。しかし、個人的には、やっぱり次に録音された本作のマッタリ感こそがFullerの大好きなところなのだ。

 

 『Smokin'』はCurtis FullerMainstream Recordsから72年にリリースしたアルバム。

フロントにFullerと前作から引き続きTrumpetのBill Hardman、そして今回はTenor SaxにJimmy Heathを迎えた3管を配し、ピアノに盟友Cedar Walton、ドラムスにはBilly Higgins、ベースには大好きなMickey Bass、ギターにEarl Dunbarという布陣。

アルバム1発目はタイトル曲“Smokin”。ご機嫌なエイトビート調のJazz Rock。先発のFullerのソロ、Jimmy Heathと続きTrumpetのHardmanも中々健闘している。FunkyなWaltonのエレピ・ソロもイイ感じ。そして何ともイナタいDunbarのギター・ソロ低音でウネっているMickey Bassのベースも実に素晴らしい。

続いては気持ち良すぎるPedal Pointの響きが、心落ち着かせてくれる“Jacque's Groove”。この辺のウワモノで寛ぎ感、多幸感を生み出す3管のアレンジ・センスがFullerの才能を感じさせる。この曲もFullerのソロで始まる。Hardmanが頑張り、Waltonのエレピ・ソロもご機嫌だ。

これまた心地良い指パッチンのSwingerSop City”。3管によるHard-Boiledで鯔背なThemeが良い。Heathの素晴らしいSoprano Saxソロ、HardmanのTrumpetソロも渋く、結構速いPassageを颯爽とキメている。続いて御大のTromboneソロ。このReaxした大人の余裕が良いですな。Waltonは洗練されたソロ都会の夜を演出する。Dunbarのギター・ソロもOctave奏法をまじえながら歌ってますな。トリはMickey Bassのベース・ソロ

激カッコイイドラムで始まる高揚感に満ちたPeople Places And Things”もイイ感じ。

アルバム最後をシメるのはStandardの“Stella By Starlight”。

(Hit-C Fiore)