このバンドは70年代後半から80年代初期にかけて活動していたお気に入りの洒落者バンドThe Movies繋がりで探し出した。Public Foot The RomanはCambridge出身で、アルバムは本作一枚しか残せなかったGroup。Greg KnowlesとSean Byrneという2人のギタリストを擁し、ドラムスのJamie Lane、鍵盤奏者のDag Small、ベースのWordという5人組。アルバム全ての曲を書いているByrneとWord以外のメンバーは、はJon Cole、Julian DiggleとThe Moviesを結成する。とにかく、このジャケットから連想される、派手さこそないがそこかしこに漂う英国の香りがたまらない作品に仕上がっている。表と裏を見た時に思わずニンマリしちゃうHipgnosisの手によるジャケットも捻りがあって面白い。ProducerがDerek Lawrenceで、ツイン・ギター編成ということもあってWishbone Ashを引き合いに出さざるを得ないが、それも納得の音作りになっている。Derek Lawrenceと袂を分かったWishbone Ashは米国志向を強めていくことになるのだが、こちらは、初期Ashに通ずる英国らしさを前面に出している。とはいえ完全な二番煎じに終わることなく、LyricalなHammondやピアノが入って入たり、The Moviesでもバッチリ見事な持ち味となっているChorusが英国的な抒情と米国西海岸的な透明感を併せ持って多用されているところが、このバンドにとっての個性となっている。ただAshほどの優美で憂いに満ち、泣きに徹したところがないところや、緩急やDynamizmのメリハリがDramaticというよりアッサリしているところはあるが、この徹しきれない煮え切らなさもまた彼らの魅力ではある。
『Public Foot The Roman』はPublic Foot The Romanが73年にSovereignからリリースしたアルバム。
アルバム1曲目は“Landowner”。イントロからイイ感じのギターRiffと透明感のあるChorus、そして2本のギターの絡みといい英国の香りがムンムン漂う。ピアノとギターのかけ合いも良し。
これまたイントロのギターとOrganがBritishな“When You Lay It Down”。歌メロもChorusもWishbone Ashなのはご愛嬌。後半のギター・ソロから見事なメンバーのChorusが披露され、2本のギターのかけ合いに展開するところが良い。
“King For A Day”はUp TempoのThe Beatlesも思わせるようなPopで軽快なナンバー。ここでもギターの絡みとChorus、タイトなリズム隊はバッチリで、Ensembleも実力のあるところを感じさせる。
“Judas Returns”も疾走感に満ちたナンバー。哀感漂うBritishな旋律は英国然としているが一筋縄では終わらない展開やRiffとChorusは、ふとGentle Giantを思わせる瞬間もあり。
心地良いツイン・ギターによるイントロで始まる“Don't Bite The Hand”。ガッツリBoogieかますShuffleで最後まで行くわけもなく、ここでもChorusがバッチリとキマって捻りのある展開が待っている。
抒情的で美しいArpeggioとHammond、歌メロが印象的な“One (On My Mind)”。CSN&YなChorusと繊細なピアノもイイ味を出している。
アルバム最後を飾るのはイントロから泣かせる“Decline And Fall”。緩急をつけた展開とEnsembleの妙が発揮された8分越えの曲。
(Hit-C Fiore)