このジャケットがまた、何ともいえないB級感を醸し出しているのだが、侮ってはいけない。中身は男気溢れる極上の正統派British Rockである。英国はLiverpoolで73年に結成されたNutzはデビューした時期が悪かったのか、ジャケットのセンスが悪かったのか、その実力のわりに非常に不遇な扱いを受けているバンドである。ギターのMick Devonport、VocalとギターのDave Lloyd、ベースのKeith Mulholland、ドラムスのJohn Mylettの4人組で、A&Mから74年にデビュー・アルバム『Nutz』をリリース、77年にリリースされた3作目『Hard Nutz』から鍵盤奏者Kenny Newtonが加わっている。同年にNottingham Boat ClubでのLive盤『Live Cutz』をリリースしてNutzは消滅してしまう。しかし、A&Mに4枚の素晴らしいアルバムを残したNutzは、Rageと名前を変えて80年代に生き残りをかけたのであった。70年代の英国音楽好きであったなら、是非、このNutzの4枚のアルバムを聴いてみて欲しい。たとえ商業的な成功から遠いところにあったとしても、Nutzは曲良し、演奏良し、Vocal良しの4枚のアルバムを70年代に残してくれたわけで、それらが18年に、あのRock CandyからRemasterされてリリースされ、British Rock Fanの一部の好き者たちを喜ばせたのであった。本作はNutzの2枚目となるアルバムで、前作よりもHardに攻めまくっているのが良い。とはいえ、70年代の後半に向かって、こういったバンドは台頭するPunkを前に生き残っていくのが困難な時代をやり過ごさなければならなかった。それを考えると、贔屓目かもしれないが、そんな時代にこういう音も残してくれたNutzは十分に健闘し、来るべきNWOBHMを予見するナンバーも残すなど、もっと評価されて然るべきバンドというべきである。
『Nutz Too...』はNutzが75年にリリースした2ndアルバム。デビュー・アルバムではJohn "Rabbit" Bundrickが2曲でピアノを弾いていたが、本作では鍵盤でPaul Carrackが参加しているのが興味深い。
アルバム1曲目は激カッコイイRiffで始まる“Nature Intended”。Mick Devonportのキレの良いギター・ソロも良い。
“I Want Never Gets”は低音でガンガン攻めるKeith Mulhollandのベース、John MylettのPercussiveなドラミングがBeatを躍動させ、Devonportが切込み、Synthesizerがウネる。
“Take It From Me”はPopでHardでありながら英国特有の憂いを秘めた音がツボである。
これまたギターのRiffがご機嫌な“Change's Coming”。こちらもPopな仕上がりながらGlamな感じのChorusもキマって引き締まったサウンドがカッコイイ。
Acoustic Guitarをかき鳴らし英国の中の米国な“Dear Diary”。こちらもChorusもバッチリで、泣きも入った曲調がイイ感じ。
“Is It All For Real”も英国の香りがたまらないGlamな雰囲気も漂うナンバー。ぶっとくベンベン弾きまくるベースも良し。
“Cool Me Down”は爆発力を内に秘めた引き締まったリズム隊にのったDave Lloydのハリのある歌声とChorusがバッチリ。
Acoustic Guitarの弾き語り風の始まる“R.S.D.”はBluesyで土くさいノリも最高。LloydのVocalも渋くてカッコイイし、キレキレのDevonportのギターが最高。
ピアノにのってLloydが歌い上げる哀感漂うBallad“The Love You Lost”。
躍動感に満ちたリズム隊の乗ってGlamなChorusと切れ味鋭いDevonportのギターが盛り上げる“Sinner”。
最後を飾るのは彼らの個性を感じさせるStrangeな味わいのBoogie“Knife Edge”。
◎Cool Me Down/Nutz
(Hit-C Fiore)