これは当然ながらジャケ買いなわけで、こんな眼差しで、ベットでこういうポーズをとられたら男は困ってしまうのだ。そして、あのJulieの声が思い浮かんじゃったりしたら…、ま、考える必要もないことであろう。当然だけど、Julie LondonのアルバムはJazzカ寄りの作品で大好きな作品があるけれど、これからの季節、レコード棚を漁っていて思わずジャケットに吸い寄せられて引っ張り出した一枚である。デビュー盤で代表作にして名盤『Julie Is Her Name』や『Julie...At Home』、The Bud Shank Quintetとの『All Through The Night』あたりも良いけれど本作のようなチョイと甘めのSlowで悩殺度の高いVocalをたまには聴きたくなるのだ。JullieといえばPopular音楽寄りのイメージも強いが、そのHuskyなVocalは、やっぱりJazz寄りの作品で魅力を発揮している。例えば64年のNYはAmericana HotelでのJullie唯一のLive盤『In Person At The Americana』あたりの小粋で艶やかな歌いっぷりが好きであるが、本盤はそこでArrangementsと指揮を担当していたベーシストでBandleaderとしても知られるDon Bagleyが絶妙の仕事をしているのが嬉しい。ギターやピアノ、Organ、Sax入りの小編成のComboでJullieのVocalをひき立ててくれている。こういう音盤を部屋でじっくり聴いていると、正に男を狂わせる天性の歌声というのはあるのだな、と思ってしまう。しかも彼女の場合はその褒めれ高き美貌もあったわけであるから、世の多くの殿方が悩殺されまくったことであろう。そして旦那さんのBobby Troupという才人が彼女にJazzを教え込んだ賜物とも言える素晴らしい作品の数々が今でも輝きを放っている。それらを聴けば聴くほど、その魅力にズブズブとハマってしまう自分がいるのである。
『Nice Girls Don't Stay For Breakfast』はJulie Londonが67年にLibertyからリリースしたアルバム。
アルバム1曲目は書いた夫君のBobby Troupが書いたタイトル曲“Nice Girls Don't Stay For Breakfast”。ElegantなStringsやピアノに艶っぽいギターもJullieを見事にひき立てている。大人な歌詞を歌うJulieのVocalに心を撃ち抜かれてしまう。
ベースとJulieのVocalだけで始まるところがゾクッとくる“When I Grow Too Old To Dream”。Hammondがイイ味を出している。
Gershwinの“I've Got A Crush On You”。雰囲気たっぷりのSaxに語りかけるようなJulieのVocalがたまらんす。
JulieのタメきいたHuskyなVocalが、これまたエロさ満点の“Everything I Have Is Yours”。Tenor Saxとギターの合いの手の入れ方も絶品ですな。
“You Made Me Love You”はBroadwayのRevue『The Honeymoon Express』に使用されたStandard。このVocalの艶っぽさがたまらんですな。
これまたHammondがイイ感じの“Baby, Won't You Please Come Home”。
しっとりと歌い上げることによって優美な旋律が浮かび上がる“I Didn't Know What Time It Was”。Richard RodgersとLorenz Hartの名コンビの作品でMusical『Too Many Girls』に使用された大好きな曲。
“Give A Little Whistle”はWalt Disneyの映画『Pinocchio』挿入曲をTempoを落として官能的なVocalで歌う。これには、もう負けそうである。
Bing Crosbyの名唱で知られるStandard“I Surrender, Dear”。Huskyな女性Vocalがこれほど似合う曲とは思わなんだ。
Billie Holidayも歌ったStandard“You Go To My Head”。大好きな曲をこれだけ色っぽく歌われると言葉が出ないっす。
これまたChet Bakerの歌で大のお気に入り曲“There Will Never Be Another You”。こういうSlowで歌い上げても実に魅力的である。
最後を飾るのはギターのイントロが素晴らしい“Mickey Mouse”。TVシリーズ『The Mickey Mouse Club』のMCを務めたJimmy Dod作のこの曲をTempoを落としてJullieが悩まし気に歌う。もう限界である。
◎Nice Girls Don't Stay for Breakfa/Julie London
(Hit-C Fiore)