Kundalini Shakti Devi/Kundalini Shakti Devi | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Kundalini Shakti DeviなるItaly産の正体不明のバンドのお蔵入り音源がリリースされ、ジャケットの何ともいえない怪しさと意味の分からない何となく胡散臭そうなバンド名に思わず手を出してしまった。最初はClubのDance BandでSaxを吹いていたというRoberto “Paramhansa” Pudduを中心に結成されたというKundalini Shakti Devi。他のメンツはギターとVocalにMassimiliano MorettiGianni Lecchi、鍵盤奏者にEnrico RadaelliTony Ognibene、ベースにClaudio Capetta、ドラムスにAmpelio Biffi。あくまでもVocalを軸腕達者なMusician技巧の限りを尽くして変幻自在のリズム・チェンジなど仕掛けの多い構築された楽曲を盛り上げていく様はArgentinaの天才Luis Alberto Spinetta率いるInvisibleの2ndアルバム『Durazno Sangrando』辺りに近い志の高いCoceptを感じることができる。しかし彼らが一生懸命演奏し録音した作品が当時陽の目を見ることはなかったのである。それがこうやって未発表音源として世に出ることになるんだから世の中捨てたもんじゃない。SaxFluteを演奏するPudduの創作意欲が溢れ出んばかりの力作で、演奏が少々荒削りの部分や構成やEnsembleも整理されきれず冗長な部分は見受けられるものの、それは些細なことで全編に渡って熱気のある演奏が繰り広げられていく。バンド名から連想されるようなExoticな旋律も飛び出し、Jazz民族音楽の香りを微かに漂わせながらめくるめく展開が最後まで飽きさせない作品となっている。お蔵入りになったのが信じられないQualityの作品と言ってよいだろう。彼らほどの腕達者でも70年代のItalyのJazz Rockの強者たちの中にあっては表舞台に出ることができなかったのである。いかに当時のItalyのレベルが高かったかが窺い知れる。

 

 

 『Kundalini Shakti Devi』はKundalini Shakti Devi74年に録音しながらお蔵入りしたアルバム。

アルバム1曲目“Flash”はいきなり19分越えの大曲LyricalなギターのArpeggio浮遊するFluteが絡む幻想的なイントロから惹きこまれる。渋いイタリア語のVocalが登場し歌い上げていく。Jimi Hendrix当たりの影響を感じさせる英語のVocalだ。Tempo Upしたかと思えば静かな展開になったり緩急をつけながら、FluteとのUnisonを合図にギターが唸りを上げ、お約束の泣きのソロが展開されていく。転調するたびにEmotionalにギターが盛り上げ、再びVocalが登場する。DarkなRiffとVocalが暫し続くもギターがBluesyなRiffを弾き始め、今度はSaxに持ち替えたPudduがJazzyなPartを挿入し、Strings Ensembleをバックにギターがむせび泣きVocalは雰囲気たっぷりに盛り上げていく。Saxやギターが絶妙のオブリを入れて、このまま続くと思いきや、展開がコロコロ変わり続け、最後はArppegioをバックにVocalが歌い上げ、ギターとSaxがUnisonのフレーズで大団円。

SpacyなStrings EnsembleをバックにExoticな管楽器のフレーズで始まる“Museo Galattico”。この曲も14分越え。突き進むBeatにのってSaxJazzyなRiffを鳴らし、今度は静寂が訪れると再びStrings EnsembleとギターをバックにFluteRomanticな雰囲気を醸し出す。Vocalが登場し、FluteとScatのUnisonがイイ感じ。途中でフォービートになったり余裕をかましつつ、得意のリズム・チェンジで幻惑する。静かなPartではStrings Ensembleをバックにしたギター・ソロが始まりVocalも加わって盛り上げていく。

アルバムの最後をシメるのはOrganをバックに甘美でRockなギターのフレーズで始まる“Sensitività”。何となくEthnicなリズムと旋律が続いていく雰囲気だったが、7拍子のJazz Rockを合間に挟み、Saxソロが始まり、続いてGentle Giant風の展開になるが、Vocalが登場し緩急自在の展開が始まる。静かなPartから後半の疾走するJazz Rockへの盛り上げ方は中々のもの。

(Hit-C Fiore)