Message To The Young/Howlin' Wolf | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 所謂キワモノなんだろう。とにかくRockファン達に媚びを売ったとしてMuddy Watersの『Electric Mud』や『After The Rain』、そしてHowlin' Wolfの 『The Howlin' Wolf Album』は散々な言われようであったという。当時のことは知らないがBlues Rockが流行していた時期で、このBlues Man中のBlues Manに、そういったものをやらせてみようとしたのかもしれないが、少なくともコアなBluesファンからは相当な叩かれようだったそうだ。本作もまた、そういう企画モノの一枚である。ところが、当時のことを全く知らなかった自分が初めてこの作品を聴いた時に、渋くてカッコイイBlues Rockと感じて気に入ってしまったのである。そして上述の問題作と言われるアルバムもそれなりにPsychedelcでカッコイイElectric Bluesとして聴いていたのであった。確かに『The Howlin' Wolf Album』はアルバムのCoverに書かれた通りHowlin' Wolf 自身がそのCoceptを嫌っていたというし、Psychedelic Bluesとして未消化の部分もあるのは否めない出来ではあった。本作ではWah-Wah PedalとFuzzboxは依然使いまくってこそいるがメンバーが一新されて開き直ったのか、前作よりもカッコイイBlues Rockが聴ける。Produceはアルバム殆どの曲を書き、演奏にもピアノで参加しているSonny ThompsonとギタリストCash McCall。そこには相棒のギタリストHubert Sumlinこそ不在であるが、ギターはSoul、R&B畑のBryce RobinsonJohn Stocklin、ドラムスにはArt Ensemble Of Chicago周辺のBob Crowder、OrganにJohn Jeremiahというメンツが固めている。 当時のWolf は病み上がりでドクター・ストップもかかっていた時期であり、さすがに声には全盛期の勢いは感じられないが、最後までGhettoの薄汚れたバー酒と煙草の臭いのしみついたBluesの精神で歌い続けようとしたHowlin' Wolf の男気を感じないわけにはいかない。

 

 『Message To The Young』はHowlin' Wolf Chessから71年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目はMorris Dollison、つまりギタリストCash McCall作の“If I Were A Bird”。いきなりエレキが吼えまくりでバックはベースがウネりまくりドラムスが叩く16ビートに力強くピアノが叩きつけられるBlues Rock

Clarence Carterで知られるSonny Thompson作“I Smell A Rat”。ピアノが跳ねFunkyなギター・カッティングWah Guitarが小気味良いFunky Rock仕様

イントロのギターのRiffがカッコイイ“Miss James”もエレキが激しく叫ぶBlues Rock

アルバム・タイトル曲“Message To The Young”は、Thompson作のBlues Rock BalladにHowlin' Wolfがお得意のフレーズと語りをのせる、ある意味Rap的なところが面白い。

Howlin' Wolfがダミ声で歌うHorn隊がイイ感じのFunkyなBlues Rock“She's Looking Good”。

Just As Long”は泣きのBlues Rock。例のフレーズがさすがにクドイが、Howlin' Wolf のCharismaticな声の持つドス黒さが強烈に迫ってくる。

WahギターのカッティングHorn隊がご機嫌なFunky RockRomance Without Finance”。ウネりまくるベースも最高。

最後をシメるのはド渋のElectric BluesTurn Me On”。

(Hit-C Fiore)