Waking Up/Topper Headon | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 The ClashのドラマーだったTopper Headonは大好きなMusicianだ。10代の頃に自分は幾つかのPunk Bandに入ってドラムを叩いていたこともあって、TopprやThe DamnedのRat Scabiesのドラミングにはメチャクチャ影響を受けた。自分にとってはPistolsTheJamは特別な存在であったし、実際にPaul CookやRick Bucklerのドラミングにも影響を受けたけれど、単純に自分がいかにカッコ良く、いかにも上手そうに叩くかということを考えた時にはTopperとScabiesだった。彼らの演奏技術があっても、あえてハチャメチャな暴れっぷりで危険な香りがするドラミングが大好きだった。実際に幼少時からドラムを習い、Jazz好きでBilly Cobhamから強い影響を受けたというTopperは高いテクニックを持っていたと思う。また、ClashがFunkReggaeなどを取り入れたのはTopperのドラムスがあってこそだと思うし、Joe StrummerClashの生命線と語るようにTopperの存在は大きかったであろう。『Combat Rock』収録のヒット曲“Rock the Casbah”はTopperが弾くピアノベースが効果的だし、曲の殆どを書いたと言われている。しかし、せっかくの才能もDrugにハマって台無しにしてしまうのは残念であった。Clashも脱退せざるを得なくなり、せっかくリリースした初のソロ・アルバムとなる本作も、そのために不発に終わってしまう。しかし、これが傑作なのである。上述のTopperの幅広い音楽性Songwritingの才能が発揮されている。しかも参加メンバーをみれば、英国音楽好きにはたまらない実力者が並ぶ嬉しすぎるメンツなのだ。これで内容が悪いわけなどなく、本当にDragは人と才能を台無しにしてしまうものだと実感してしまう。ようやく悪癖を断ち立ち直ったTopperが近年はドラム・スクールみたいなことをやっているのは嬉しくもあり、寂しくもある。それ位、本作の出来は素晴らしかったのだ。70年代後半から80年代にかけて、Punk周辺からR&BReggaeJazzといった多様な音楽性を求めてMusicianたちがアプローチしていくことが増えて、それなりに人気を集めていく。楽曲の出来も歌も演奏も良い本作は今だからこそ再評価されてしかるべきであろう。

 

 『Waking Up』はTopper Headon86年にリリースした1stソロ・アルバム。ギターとVocalにBob Tench、ベースとVocalににRoger ChapmanStomu Yamashta's GoAutomatic Manのアルバムに参加している名手Jerome Rimson、そして鍵盤にはClashのSessionで参加していたBell + ArcIan Dury And The Blockheadsの職人Micky Gallagher。Lead Vocalを担当するJimmy Helmsは米国生まれながら英国で活動していた実力者。この黒光りするVocalが絶品なのだ。R&BReggaeJazzまで対応する歌と演奏が実に素晴らしい。

アルバム1曲目は“Leave it to Luck”。Jimmy HelmsのSoulfulなShoutとMicky GallagherのHammondがご機嫌なナンバー。Horn隊Chorusも激カッコイイ

高らかにHorn隊が鳴り響きHelmsのVocalが“I'll Give You Everything”も大好きなナンバー。

Hope For Donna”はPercussionHammondをバックにHorn隊FunkyなThemeとソロで魅了するインスト・チューン

Catchyなサビを持った“Got To Keep On Going”。タイトなTopperのドラミングも心地良くキマっている。Chorusと絡む後半登場するGallagherのピアノも最高。

アルバムで一番お気に入りのReggae“Dancing”。女性ChorusとHelmsのVocalのかけ合いも最高。GallagherのHammondも絶妙。そしてTopperのSongwritingにも脱帽。

Pleasure & Pain”もイナタくてご機嫌なR&B。後半のBobby Tenchのギター・ソロがまた素晴らし過ぎ。

Stax ClassicであるBooker T. & the M.G.'sの“Time Is Tight”は言わずもがなの出来。

イントロのBluesyなギターRiffがカッコイイ“When You're Down”。Blues HarpやChorus、Horn隊もイイ感じ。

ベースのJerome Rimsonが前半のLead Vocalを担当した“Just Another Hit”。ここでもBobby Tenchのギター・ソロがイイ感じ。

アルバム最後を飾るのはNostalgicなフォービートJazzMonkey On My Back”。HelmsのVocalも渋いっす。

(Hit-C Fiore)