Going Deaf for a Living/Fischer-Z | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 GongのベーシストだったMike HowlettThePolice結成に関係したり、PenetrationをProduceしたり、いわゆるNew Waveな連中とつるんでいた、というかPunk~New Waveな方向性へ足を踏み出したMusician達と一緒に仕事をしていたのが興味深い。このFischer-Zというバンドもデビュー・アルバムと2枚目のアルバムとなる本作のProduceをHowlettが手掛けている。それにしても、この奇妙な語感の統計学用語をバンド名にしたところが素晴らしい。LondonにあるBrunel Universityに通っていたギターとVocal担当のJohn Wattsと鍵盤奏者Steve Skolnikが中心になって70年代に結成されている。ベースにDavid Graham、ドラムスのSteve Liddleを加えた4人組で79年にデビュー・アルバム『Word Salad』をリリースしている。明らかにPunk~New Wave以降のPrimitiveで明日なき暴走を続けるBeat感覚を持ちながらReggaeを取り入れた彼らのサウンドは独特の魅力がある。それはMinor KeyのReggaeな楽曲を歌うと独特の哀感を醸し出すWattsの甲高いVocalとGrahamの低音で動き回るベースにLiddleのキレのあるドラムスによるリズム隊にSkolnikの奇妙な味のある鍵盤が加わって生み出される一味違ったNew Waveな感覚に満ちたWhite Reggaeな部分に顕著だ。それはシングルでヒットした“The Worker”という楽曲に集約されている。70年代末~80年代に登場したWhite Reggaeなバンドの中でも彼らは独特の立ち位置にいる。2枚目のアルバムとなる本作では前作よりも鍵盤は引っ込んでPunkishなギターが前面に出てきているが、80年代らしいNew Waveな感覚と欧州らしい憂いが全体を貫き、得難い魅力を放っている。

 

 『Going Deaf for a Living』はFischer-Z80年にリリースした2ndアルバム。

アルバム1曲目はお得意のWhite Reggae路線の“Room Service”。鋭いカッティングとJohn Watts独特のVocalタイトなリズム隊にのっていかにも当時のNew Waveな雰囲気を醸し出している。

So Long”はぶっといベースにWattsの甲高いVocalが奇妙な味わいのナンバー。

これまた当時のNew Wave感に満ちたWhite ReggaeCrazy Girl”。何ともいえない哀感漂うJohn WattsVocalがFischer-Zの持ち味である。

Edgeの立ったギターPunkishなVocalによる勢い溢れるサウンドにチョイと挟まれるピコピコSyntheの取り合わせが面白い“No Right”。

疾走感に満ちたGoing Deaf For A Living”。これまた場違い感たっぷりの鍵盤が風変わりな味を出している。

ノリノリの“Pick Up / Slip Up”。途中でReggaeな展開になるところも彼ららしい。

Punkishなギターのカッティングがご機嫌激カッコイイ疾走TuneCrank”。ここでも場違いな不思議感を演出する鍵盤がイイ味出している。

Haters”はイントロのベース・ラインからドップリReggaeで高音のVocalと重心の低いベースのContrastが最高。

Four Minutes In Durham (With You)”はDriveするベースSolidなギターがカッコイイお気に入りのナンバー。

最後をシメる“Limbo”も勢いのあるエネルギッシュにぶっ飛ばしまくりのPunkishなナンバー

Room Service/Fischer-Z

 

(Hit-C Fiore)