Conflict Nkru!/Ebo Taylor & Uhuru Yenzu | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 リアリズム馬鹿の佐々木俊尚が、都合の悪い真実を突かれた時に毎回繰り出す有難い御言葉 党派性(笑)を出してまた笑われている。中立を装ってもご本人が党派性丸出しのボロが出てしまうっていうのも悲しいものがありますなあ。

 Ebo Taylorは自分がGhanaHighlifeを夢中になって追いかけていた頃に出会った音楽家だ。Ghanaという国は、Africa諸国の中でSub-Saharan Africaにおいて初めて現地人が中心となって欧州の宗主国から独立を勝ち取った国家である。そういった脱植民地化が活発化する50~60年代にGhanaではHighlifeが大きなMovementとなっていった。Highlifeの王様といわれるE. T. Mensahと並び、50年代からGhanaのHighlifeを牽引してきた偉大なるギタリスト/Composer/BandladerがEbo Taylorである。StargazersBroadway Dance BandといったBig Bandで存在感を発揮した後、Jazzに傾倒していったEboは62年に自己のバンドThe Black Star Highlife Bandを率いてLondonに移住する。そこでFela Kutiとの運命の邂逅を果たし、Highlife Jazzの可能性を追求していった。帰国後のEboはAfrobeatJazzFunkの要素をさらに取り入れながら素晴らしい作品を残しつつProducer、Arrangerとしても活躍してきた。77年の『Ebo Taylor』収録の“Heaven”の発掘によって、近年Afrobeatの文脈で語られてしまうこともあるが、Ebo Taylorの本質はHighlifeにあるのだ。とはいえ、70年代のFunkyで激カッコイイ音盤が続々と発掘されてきている近年、ある意味でそういったところからEbo Taylorを知ることがあっても良いのではと思う。本作は、そんなFunkyな路線のEboの作品の中で個人的にも最も気に入っている音盤である。2010年の復活作『Love And Death』に収録されたナンバーが、ここでは浮遊感に満ちたDopeなサウンドで緩やかに演奏されている。Tony AllenOghene KologboAfrobeat Academyが参加した2012年の『Appia Kwa Bridge』も素晴らしい出来であった。それにしても今年82歳まだまだ現役、Ebo Taylorの衰えを知らぬ活躍ぶりにはただ只管、尊敬である。

 『Conflict Nkru!』はEbo Taylor & Uhuru Yenzuが80年にリリースしたアルバム。Broadway Dance Bandのメンバーによって結成されたThe Uhuru Dance BandからSax奏者のGeorge AmissahGeorge Kofi Abunyewahを迎え、ベースのDavid LampteyとドラムスのMax HammondEbo Taylor & Saltpond Barkers Choir名義の79年作『Me Kra Tsie』のメンツ。Highlifeの名ドラマーArthur Kennedyも参加している。Ebo TaylorのJazzyなギター・ソロもカッコ良すぎですわ。
高揚感溢れるHorn隊とChorus隊Funkyなリズム隊が最高な“You Need Love”。この開放感に満ちたユルさ、この寛ぎ感がたまらないっす。そこに絡むJazzyなEbo Taylorのギターがカッコ良すぎ。
続いてもベースがFunkyにうねるリズム隊にのってJazzyなThemeが激カッコイイ“Love And Death”。勿論、ここでもChorus隊はPositveに歌い上げる。
一転してSharpなHorn隊キレキレのリズム隊がSeriousに迫る“What Is Life?”。VocalとChorus隊、Eboのギター・ソロもカッコイイがFluteソロが鳥肌モノっす。
イントロの語りとMinimalなフレーズが何とも呪術的な“Christ Will Come”。ここでもFlutePercussionとともにイイ味を出している。
最後をシメるのは、これまた激カッコイイHorn隊のThemeに痺れまくる“Victory”。
◎Bra/Ebo Taylor & The Saltpond City Band

◎Come Along/Ebo Taylor & The Saltpond City Band

(Hit-C Fiore)