
Italyで70年代に活躍し、その独特の浮遊感のあるJazzrockで数々の名作を残してきたスーパー・グループPerigeo。そのメンバー5人全員が高い演奏技術と研ぎ澄まされた感性を有し作曲の才能にも恵まれていたのがスゴイ。これだけ強力なMusicianが揃っているグループはそうはいない。イタリアを代表するベーシストGiovanni Tommasoと、以前ご紹介した革新性と欧州の抒情性を併せ持った優れたピアニストFranco D'Andreaを軸に、Santucci-Scoppa QuartetのドラムスBruno Biriaco、NYからイタリアにやってきた知性的でElegantなギタリストTony Sidney、そして本日の主人公であるSaxやFluteで映像的な風景を描き出すMulti管楽器奏者Claudio Fasoli。Perigeoは77年に解散するが、その後メンバーが入れ替わりながらもPerigeo SpecialやNew Perigeo名義で再編され、90年代や2000年代にもオリジナルメンバーが全員揃ってこそいないもののPerigeo名義で再結成Liveが行われているようだ。さて、本作はそんなPerigeoのメンバーClaudio Fasoliが77年にリリースした1stリーダー・アルバム。ピアノとドラムスにPerigeoの2人が参加、ベースには、ItalyのMingusこと重鎮Giorgio Azzoliniという布陣で制作された。2000年代に入ってからも、その独自の欧州的な美意識による完成度の高い作品をリリースしているFasoliだが、本作ではその音楽性のルーツも垣間見え、中々楽しめる内容となっている。今年リリースされた『The Brooklyn Option』も素晴らしい傑作であったがJazzに現代音楽、民族音楽、Classicalな要素やHip Hopまで取り入れながらも確固たる自分の世界を追求してきたFasoliの原点となる作品といえる。
『Eskimo Fakiro』はClaudio Fasoli Jazz Trioが77年にリリースしたアルバム。TrioというのはFasoliとベースのAzzolini、ドラムスのBiriacoで、ピアノのFranco D'Andreaはゲスト扱いということらしい。1曲を除き全てを自作で固めた本作で、FasoliはTenorとSoprano Saxを吹き、MysteriousでLyricism溢れた独自の世界を描き出す。
アルバム1曲目“Day Off”はFasoliらしい浮遊感に満ちた欧州的な知性と優美さが見事に表現されたナンバー。Soprano Saxの透明感溢れる音色が神秘的な旋律を紡ぎ出し、D'Andreaのピアノが美しく色彩感豊かなフレーズを繰り出す。躍動するリズム隊も素晴らしい。
続いても幻想的なFasoliのSaxが見知らぬ風景を描く“Pseudonimo”。
Wayne Shorter作の“Dolores”。Miles Davis Quintetの66年作『Miles Smiles』に収録されていたナンバー。チョイFree気味にAgressiveかつスリリングにメンバーが織り成す丁丁発止が素晴らしい。
スケールの大きい大陸的な旋律と欧州的な硬質のリズム隊が融合した“Eskimo Fakiro”。Franco D'Andreaのピアノ・ソロもキレキレだ。Bruno Biriacoのドラミングもイイ感じ。
MagicalなFasoliのTenorに酔いしれるBallad“Childish Eyes”。D'AndreaのElegantかつ鋭さも持ち合わせたフレージングに脱帽。
最後を飾るのはBruno Biriacoのドラム・ソロで始まる“Sunless Dream”。FasoliはSoprano Saxで躍動感のあるEhnicな曲調で自由自在に宙を駈けぬけていく。
(Hit-C Fiore)