Pollen/Pulsar | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 やっぱり70年代のAnalog Synthesizerの音は良いですな。FranceのLyonで結成されたPulsarというグループ。この時代にPink FloydKing Crimsonに影響を受けた世界中のグループは数えきれないぐらい存在したであろうが、フランス語のVocalで、そういった音楽を演奏するとどうなるか?何とも虚ろで儚く、そして欧州独特の暗さが感じされるけれど、どこか夢想的である。これがドイツ語だったりするとまた感じが異なってくるのだろうか。FluteとSynthesizerを演奏するRolland Richard、オルガンとピアノ、Arp Synthesizerを演奏するJacques Roman、ギターのGilbert Gandil、ドラムスのVictor Bosch、 ベースのPhilippe Romanという5人組だ。VocalはベースのPhilippe Romanが担当している。先に書いたPink FloydとKing Crimsonからの影響という点で、Blues色を完全に抜いた部分、暗く美しい抒情性や浮遊感を強調し、効果音やMonologueの挿入してTheatricalなフランス語独特の味わいを生かした独自の世界を形成しているのが良い。言うまでもなくジャケットも素晴らしい。

 『Pollen』はPulsar75年にリリースしたデビュー・アルバム
アルバム1曲目“Pulsar”はAnalog SynthesizerがSpacyに響き、ドタバタしたリズムが始まる。歪みまくったFuzzギターもイイ感じ。最後の爆発音、そして何かから逃れるような女性の足音と吐息の効果音が中々気分である。
幻想的なArpeggio虚ろなVocalがたまらない“Apaisement”。アコギの爪弾きやStrings Ensembleがどこまでも耽美的な世界を描き出し、Fuzzギターが漆黒の虚空を切り裂く。ベースのPhilippe Romanのフランス語のVocalやFluteが寂寥感をかき立てる
FluteFalsettoのScatが印象的な“Puzzle/Omen”。5拍子での間奏部分が続くとピアノとScatをバックに女性の語りが入り、Strings EnsembleをバックにArp Synthesizerがどこまでも抒情的な世界を描き出す。
ジャケットのように神秘的な世界と凶暴なギターとの対比が面白い“Le Cheval De Syllogie”。思いっきり低音のMonologueも風変わりで面白い。MinimalなベースのRiffをバックに歪ませまくりのギターが唸りをあげるところも良い。
最後はアコギで始まる大曲“Pollen”。ここでもFluteとアコギのArpeggioが印象的。またしても虚ろなVocalが飛び出し、Hammondをバックにムード満点のギター・ソロやFluteソロがいかにも。
(Hit-C Fiore)