Good Morning/Daevid Allen & Euterpe | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 自分は未だに信じられない。そして信じたくない。Daevid Allenが今年の3月に静かに旅立って行った。ある程度の覚悟はしていたけれど、個人的にショックであった。あれから時間もたって、ようやく大好きなDaevid Allen翁のことを書けるようになった。それにしても、よく自由人なんてことを言うけれど、London、Paris、NY、Spain、世界中を好き勝手に巡り歩きながら、自然と素晴らしい仲間たちが周りに集まってきてしまう、そしてそこには素晴らしい音楽が生まれ、仲間たちと楽しそうに演奏する翁の姿がある。それはDaevid Allen自身の人柄というか、人間の魅力というか、その人生は何とも幸せであったことだろう。Radio Gnome Invisible3部作を発表して行き着く処まで行った超絶技巧集団になったGongに別れを告げて、Gilli S'Mythと辿り着いた先は西地中海に浮かぶSpainMallorca。本盤は、リタイアというか子育てもかねて島に滞在していた翁とGilliが、SpainのバンドEuterpeと創り上げた多幸感に満ちたPsychedelic Folkな一枚。このアルバムを聴いていると本当にHappyな気分になれる。ゆったりと流れる時間の中でAllen翁の優しさ人生観が伝わってくる。Acousticでドラムレス、そして溢れ出てくる音楽のアイディア。ジャケットも含めて大好きな作品。Teac4 Track Recorderで録音したというのは本当なんだろうか?

 『Good Morning』はDaevid Allen & Euterpe76年Virginからリリースしたアルバム。
アルバムはArpeggioが美しい“Children of the New World”で始まる。Allenの温かみのあるGentleなVocalにCanterburyな語り口が垣間見える。ウネウネしたSynthesizerも良い。
鐘の音、小鳥のさえずり、鶏のコケコッコー、そしてこれまた美しいArpeggioで始まる桃源郷Good Morning”。Allen翁の飄々としたVocalと多重Chorusが素晴らしい。
Spirit”は美しい多重ChorusにのってDaevid Allen翁のぶっ飛んだVocalが本領発揮。アコギの響きも良し。
ピアノをバックにAllen翁が自由気ままに摩訶不思議なメロディーを歌う“Song Of Satisfaction”。
Have You Seen My Friend?”はアコギのカッティングExoticな魅力を放ち、バックの演奏も躍動する。ここでも多重Chorusがイイ感じ。
French Garden”は牧歌的に始まり、徐々にバンドの演奏が熱を帯びてくる。Pepe Milanを中心としたEuterpeの演奏もイイ感じだ。
Wise Man In Your Heart”はGongのベーシストMike "Fingers" HowlettとPercussion奏者Pierre Moerlenが参加して、Minimalで瞑想的な、そうあのGongである。しかしDaevid翁とバックのChorusが素晴らしい。そして姐さんのSpacewhisperも炸裂する。
最後を飾るのは“She Doesn't She...”。無邪気な子供のように生き生きと音楽を楽しんでいるAllen翁とEuterpeの面々。温かさが伝わってくる。

Thank You For Your Music、Mr. Daevid Allen
(Hit-C Fiore)