
The Beatというと自分はどうしても2 Toneの英国産Skaバンドの方を思い浮かべてしまうけれど、こちらはThe Nervesのドラマーだった才人Paul Colins率いる方。LAで結成された70年代後半に登場したBeat Group然とした、こちらも中々良いバンド。一応、区別するためかThe Paul Collins BeatとかPaul Collins' Beatとも呼ばれているようだ。ベースのSteve HuffにギターのLarry Whitman、ドラムスのMichael RuizとVocal&ギターを担当したColinsの4人組だ。共作1曲を含みアルバム全曲がPaul ColinsのSimpleで勢いに満ちた小気味よいSongwritingで埋められた大好きな音盤である。70年代後半に彼らのような60年代のBeat GroupやPunkに影響を受けた荒々しくもPopな魅力にあふれたナンバーで人気を集めるバンドがアメリカから続々出てきた。多くのバンドは短命ではあったが、しぶとく生き残っているバンドや再結成で頑張っている連中もいて中々面白い。それにしても、メロディー良しビート良し、演奏良し、歌も良しでアルバムの全曲がイイ感じに仕上がっている彼らのデビュー・アルバムは今でも時々引っ張り出して聴きたくなるのである。
『The Beat』はThe Beatが79年にリリースしたデビュー・アルバム。
アルバム1発目は勢いのあるピック弾きのベースがカッコイイ“Rock N Roll Girl”。
チョイXTCな雰囲気がお気に入りの“I Don't Fit In”。
Tempoを落としてドッシリしたBeatで中々味のある歌いっぷりと骨太なギター・ソロも光っている“Different Kind of Girl”。
“Don't Wait Up For Me”はThe WhoあたりのBritish Beatの影響を受けつつ彼ららしいPopな味付けで見事に仕上げたナンバー。
泣きのメロディーが炸裂する“You Won't Be Happy”も60年代Beat Group風味のナンバー。いかにもなChorusも泣かせる。
爽快にぶっ飛ばす“Walking Out On Love”はPunkishかつPopでアルバムで一番のお気に入り。
“Work-A-Day World”はサビで一気にPopに弾ける緩急のつけ方がうまく工夫されたナンバー。短いながらもギター・ソロも良し。
これまたLate 70'sらしい香り漂うPunkishな“U.S.A”。
青臭くも瑞々しいシンガロングな“Let Me Into Your Life”。
Riffが激カッコイイ“Working Too Hard”。
ピアノをバックにアルバムの中では一味違った歌を聴かせる“You and I”は彼らの多彩な音楽性を感じさせる。
アルバムの最後を飾るのは“Look But Don't Touch”は、The BeatlesのTaxmanのベースラインにチョイ似ながら、これまたカッコイイRiffが炸裂するお気に入りのナンバー。
◎Walking Out On Love/The Beat
(Hit-C Fiore)