Over Easy/Whispering Smith | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 それにしてもカッコイイ、大好きなジャケット。大好きなExcelloのレコードを集めている自分にとって、このアルバムは、ある意味自分が好きなExcelloらしからぬ作品ではあるが、どうしてもジャケットのカッコ良さで印象が強いものとなっている。それにしてもWhispering SmithというBlues Harmonica奏者、その名前と、実際にBluesを歌う彼の歌声のあまりの落差にまず驚いた。そのぶっといしわがれ声で喧嘩を売るかのように迫ってくるWhispering Smith。Lightnin' SlimやThe Rhythm RamblersのSilas HoganとのSessionで知られるMississippi生まれのSmithは、60年代初頭にExcelloに素晴らしいシングルを4枚リリースしている。その後、自分のバンドも解散してカタギ仕事の生活に入って表舞台からは姿を消したかにみえたSmithであるが、70年代に突然Lightnin' Slimと共にMontreuxのBlues Festivalに姿を見せたり本作をリリースしたりしている。その後も長く音沙汰なくなるのだが、80年代にも作品をリリースしたりBlues Festivalに顔を出したりしている。何ともマイペースなオッサンで残念ながら84年にこの世を去っている。

 『Over Easy』はWhispering Smith72年にリリースしたアルバム。Producerは何とBobby Powellを手掛けたことで知られるLionel Whitfield。何と、そのBoby Powellも本作に参加しているという。ということもあってR&B寄りのアプローチが感じられる本作はExelloの60年代のシングルを知る人には違和感ありというのも仕方ないと思う。
アルバム1発目はいきなりFunkyなリズム隊で“What In The World's Come Over You”。
いくらなんでものアコースティックな“Mojo Hand”は賛否両論あるだろうが、これはこれで面白い。
続いてはLouisana Bluesな“The Way You Treat Me”。
続いてもLouisana流儀の“I Don't Need No Woman”。まったりしたリズムにSmithががなりたてるBlues.
Acoustic Bluesな“Everybody Needs Love”。
なんとなんと“I Know I've Got A Sure Thing (Smith's Jam)”はOllie And The Nightingales のR&Bナンバーをサブ・タイトル通りのJamナンバーに仕上げている強引さん。鄙びたHarmonicaが沁みるAcoustic Blues
The Staple Singersの“Why Am I Treated So Bad”は、これまた賛否両論あるだろう出来で、当然FunkyなR&B風味ながらモッサリ感がSmithらしい。そしてBoby Powellも歌ったこの曲、本人も参加している。それにしても名曲は名曲である。
B.B. Kingの“Rock Me Baby”も拙いAcoustic Blues仕様。この強引さが個人的には中々面白い。
Horn隊も参加してR&B調の“Married Man
SlideHarmonicaがイイ感じの“I Know You Don't Love Me”。
Slow Bluesの“It's All Over”。
最後をシメるのはFunk Blues仕様の“You Want To Do It Again”。これはSmithのガサツなVocalがハマッていて最高。
(Hit-C Fiore)