The World Is A Ghetto/War | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 アメリカはご存知の通り多民族国家であり、世界中のさまざまな音楽が、そこに集まってくるだろうけれど、FunkやLatin、RockやJazz、Reggaeといった音楽が入り混じった演奏をするWarというバンドは正に、そんなアメリカから誕生したバンドというのに相応しい。英国が生んだThe AnimalsのVocalistであるEric BurdonとDenmark人のHarmonica奏者Lee Oscarがアメリカで出会ったことが、このバンドが世に出るきっかけになったのも面白い。元々はギタリストのHoward ScottとドラムスのHarold BrownCaliforniaで62年に結成し、Sax奏者のCharles Miller、ベース奏者のB.B. Dickerson、鍵盤奏者のRonnie Jordanが加わったThe Creatorsが母体と成っている。彼らはLAのGhettoで活動をしていた。そこにはR&BFunkだけではなく、SalsaなどのLatin音楽Caribbean Musicが自然にあって、彼らはそういったさまざまな音楽を自らの血肉としていった。さらにNightshiftというバンド名となり、その後も面白いことに、なぜかSeñor Soulというバンド名で、彼らはドFunkyなアルバムも残している。そしてBurdenとの運命の出会いを経てWarと命名されたバンドは数々の傑作をものにしていくのだ。Dizzy GillespieのバンドにいたPercussion奏者のPapa Dee AllenとLee Oscarが加わったことにより、Funkバンドとしても一味違ったところが彼らの特徴となった。さらに上述のLatin音楽やJazz、Caribbean Musicの影響は徐々にバンドに独自のCrossover Musicを開花させていくことになる。East LA出身のジャンルを超えた活躍を続けるバンドという意味では、スケールをどんどん拡大して今や確固たる地位を築いた偉大なChicano系バンドLos Lobosの先駆となったバンドであるともいえるだろう。

 『The World Is A Ghetto』はWar72年にリリースしたアルバム。Eric Burdonと2枚のアルバムを残して、Burdonから旅立った彼らの3枚目のアルバム。7人編成となった彼らは、その出自から多彩な音楽性を有しながら、かなりメッセージ色の強い作品を発表していった。
アルバム1発目は彼らの名前を一躍大ヒット曲となった“The Cisco Kid”。Percussionと骨太なベースがイイ感じ。
ピアノとギターのRiff、そして心地良くGhettoを駆け抜けていくような軽快なBeatにのった“Where Was You At”。途中でFunkyに展開するのも良い。Harmonicaやオルガンも実にイイ感じ。
City, Country, City”はHammondに牧歌的なHarmonicaの調べ、そしてPercussionが鳴り響く中、Charles MillerのSaxソロ、Lonnie JordanのHammonソロへと続くインスト。13分を超える長尺のインプロ大会ではあるが、なぜか飽きささない魅力がある。PercussionのPapa Dee Allenが大活躍。
Seriousな雰囲気のChorusが印象的な“Four Cornered Room”。Blues Harpと語りが入ると、まるでジャケットのようなGhettoの中で立ちすくみ苦悩している若者のSituationが思い浮かぶ。
タイトル曲“The World Is A Ghetto”は彼ららしいゆったりとしたノリの中で徐々に快感が高まっていく中毒性の高いFunk
最後はCaribbeanな雰囲気の“Beetles In The Bog”。
(Hit-C Fiore)