Hub Cap/Freddie Hubbard | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 一聴して地味に感じる作品でも何回か聴き込んでいくたびに愛着を感じてお気に入り盤となっていくものもある。Trumpet奏者のFreddie HubbardBlue Noteからリリースした第三弾となる本作は全体を覆うModalな響きが瑞々しい。60年代を全力で駆け抜けていくHubbardの若々しさと3管編成でのEnsembleを重視したComposer/Arrangerとしての才能を感じさせる音盤だ。前作『Goin' Up』やデビュー作『Open Sesame』での力強さや弾けるような若々しも魅力的であったが、本作では従来のHard Bopから新しい地平めざそうとする意気込みも感じられる。前二作では自作曲が1曲しかなかったが、本作では4曲提供している。そして今年8月に惜しくも鬼籍に入ってしまったCedar Waltonという3管時代のArt Blakey & The Jazz Messengersの同僚となるピアニストと組んで新しい時代へ向かっていく意気込みを共有しているように感じる。ただし、まだまだ試行錯誤の中途半端な部分も感じられるのは事実であるが。60年代の3管編成のThe Jazz Messengersの快進撃はWayne Shorterの存在は大きかったにせよ、この2人もまた、なくてはならない存在であったのだ。確かにHubbardは、そういった60年代初頭の輝かしい活躍や実力のわりにリーダー作にこれといった決定打がないなどと言われてしまう不遇のMusicianかもしれない。しかし従来のHard Bopの枠を越えていこうとしたColtraneやEric Dolphy、Ornette Colemanらと共演し、自らも新しい感覚で突き進もうとしたこの時期のHubbardが、余りに鮮烈であったがゆえに、そう感じてしまうのだろう。そんなHubbardが血気盛んなその一瞬の閃きを捉えた作品である本盤は未完成、発展途上ゆえの魅力がたまらない。

 『Hub Cap』はFreddie Hubbard61年Blue Noteからリリースしたアルバム。ピアノにCedar Walton、ベースはLarry Ridley、そしてドラムスにPhilly Joe Jonesというリズム隊にJulian PriesterのTrombone、Jimmy HeathのTenorの3管フロントである。
OpnerはHubbard作の“Hub Cap”HubとはHubbardのNicknameである。Minor Keyで、Uptempoのナンバーだが、この頃のPhilly Joeは少々大味か。
ピアニストRandy Weston作の“Cry Me Not”。Melba Listonが編曲を担当したBallad。優雅に泳ぐ3管のEnsembleが良い。
Luana”はLatinの雰囲気を漂わすExoticなナンバー。Hubbaredの書いたModalでCoolなこの曲は派手さこそないがHeathやPriesterが静かに燃える感じがいい。
Osie Mae”はBluesyなRiffにPhilly Joe Jonesの野性味溢れるドラミングがバッチリ合ったナンバー。
Ceder Walton作の“Plexus”は、彼らしい捻りの入ったナンバー。後にThe Jazz Messengersでも再演される。Waltonのピアノ・ソロも小気味良い。
最後をシメるのはHubbard作曲の“Earmon Jr”。最後までMinor Keyがアルバム全体をCoolに包み込んでいる。3管のRnsebleを生かしたModalなナンバー。
(Hit-C Fiore)