I Want to Live!/Johnny Mandel | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 映画『Jazz On A Summer's Day(真夏の夜のジャズ)』に登場するGerry Mulliganの何ともカッコイイこと! 赤いブレザーを颯爽と着こなし、演奏でも女性を虜にする粋な男っぷりはシビレるものがある。そんなMulliganだから、当時は女性にモテモテだったのはよくわかる。本盤は、West CoastのPartyやNightlifeを楽しむGood-Time Girlが主人公の映画のサントラ盤である。彼女は実在の人物であり、実際にMulliganのファンだったという。映画の内容もタイトルからわかるように非常にSeriousなものである。映画のオープニングのJaz Clubeで演奏するMulliganのComboが鳥肌モノのカッコ良さである。しかし、オリジナルのFilm Scoreを収録したサントラ盤には、この演奏は収録されていないのでご注意を(Gerry MulliganのJazz Comboの演奏は『The Jazz Combo From ‘I Want To Live!’』として製作され、現在本Film Score盤と2in1でCD化されているようだ)。映画の音楽を担当したのはJohnny Mandel。音楽は当初、Andre Previnが予定されていたが、Previnにより当時まだ駆け出しのMandelが推薦された。26-PieceのOrchestraを率いてMandelが書き上げたJazz Scoreは注目を集めた。BongoやCongaを多用し、他にも珍しい各種PercussionやBass Clarinet、Bass TrumpetやBass Fluteを用いたEnsembleが興味深い効果を上げている。メンバーも西海岸のツワモノが集結している。ベースのRed MitchellにドラムスのShelly Manne、ピアノはPete Jolly、PercussionにはLarry BunkerMel LewisMike PachecoMilt Holland。SaxにはBill Holman 、TromboneにFrank Rosolino、TrumpetにJack Sheldon、ギターにAl Hendricksonといった強力な布陣である。JazzのTrumpet、Trombone奏者としてプロ生活をスタートしたMandelは、本盤で成功を収め、その後映画『The Sandpiper』の愛のテーマとして世に出た“The Shadow of Your Smile”や『M*A*S*H』のThemeである“Suicide Is Painless”、映画『The Americanization of Emily』の挿入曲“Emily”、“Close Enough for Love”、“A Time for Love”といった名曲を書き上げ、映画界のみならずJazzやPopular Musicの世界でもComposerとして活躍していくこととなる。

 『I Want to Live!』は58年に公開されたRobert Wise監督の映画の同映画のサントラ盤。
アルバムはPercussionの連打、ベースライン、そして退廃的なムードを醸し出すSaxのフレーズによる“Main Title”からスタートする。
続いてPercussionとFluteが軽やかに躍動すると、突然気怠いムードが漂う展開になる“Porker Game”。
Pete Jolly軽やかにSwingするピアノに小粋にTenorやTrumpetが絡む“San Diego Party”。タイトル通りご機嫌なParty Tune
Themeの変奏曲でLarry BunkerのVibraphoneが効果的な“Henry Leaves”。
緊張感漂うイントロから、またしてもBluesyにな倦怠感漂う展開、そしてPercussionの連打となる“Stakeout”。
ThemeをHorn Ensembleが重厚に鳴らして、バックではいつの間にかPercussionがAfroなハチロクのRhytmを刻み出しているのが面白い“Barbara Surrenders”。
やはりハチロクの太鼓をバックにスリリングに進行する“Trio Convicted”。
郷愁を誘うようなTenorの響き、低音でのBass Clarinet、後半の不安が忍び寄るような展開が気になる“Trip To Corona”。
続いても同様に哀愁を湛えたHorn Ensembleの“Peg's Visit”。Bass ClarinetやBunkerのVibraphoneが効果を上げている。
何とも陰鬱なムードの“Gas Chamber Unveiling”。
Percussionが入り賑やかな感じなのに終わり方が不安感を高めるNightmare Sequence”。
Trumpetが悲しげに響くPreparations For Execution”。
憂いを湛えた切ないメロディーがたまらないJazz WaltzLetter Writing Sequence”。ギターとFluteの使い方が印象的。
さすがに重々しいムードで重厚な“The Last Mile”。
タイトルのわりに怖くないDeath Scene ”。あえて、仰々しさを避けたMandelのセンスが素晴らしい。
ベースランニングに続いてBluesyで退廃感ただようThemeが繰り返される“End Title”。

ちなみにGerry Mulliganの『The Jazz Combo From ‘I Want To Live!’』も最高のアルバムである。
Frisco Club/Gerry Mulligan

(Hit-C Fiore)