Jorge Barral | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 大谷翔平選手がやってくれた。それにしても高卒ルーキーで開幕スタメンでいきなり活躍するとは驚きだ。どうか大事に育てて欲しい日本プロ野球界の逸材である。世界初の二刀流のスーパースター目指して、ほんとうに将来が楽しみである。久しぶりに野球で興奮する話題。やっぱり華がある選手、絵になる選手はワクワクさせてくれますな。こういう見ていて楽しめる、何かを期待させてくれる、スケールの大きい選手を待っていたわけですな。失敗を恐れず堂々とプレイする。初々しい笑顔も良し。長嶋茂雄以来の全ての要素を満たした才能かもしれない。勝手にそんな期待をしてニンマリしまうほど魅力的で将来性に満ちた選手である。
 さて、中南米の面白い音を探索してきた自分にとって、Uruguayを代表するレーベルといわれているSondorからリリースされた『30 Años de Musica Uruguaya』と題されたシリーズは嬉しかった。60~70年代の音源から選ばれた、それらの作品は、同国の音楽に興味を持ち続けてきた自分にとって正に涎が出そうなものであったから。そのNo.9である本盤にはGenesis(勿論、英国のバンドではありません)、既にご紹介したJesus Figueroaの1stとJorge Barral73年のソロという作品が収録されている。実はGenesisとFigueroaの方は既に単独でアルバムの音源を入手していたのだが、Barralの音源は未入手で、どうしても音を聴いてみたかったので本盤を手に入れるのに躊躇しなかった。Flaco BarralことJorge BarralはOpus AlfaDias de Bluesのメンバーでベースやアコギを弾いていた。その後、Spainに渡りAzaharAzabacheLabandaといったグループを結成して活躍していた。南米モノ特有の、どこかもの悲しくシンプルでありながら、一度ハマると抜け出せない中毒性の高いPrimitiveな楽曲とサウンド。最初は地味で暗い印象があっても、何回か聴いていると、Psychedelicな香りと荒涼とした大地に佇むかのような弾き語りに惹きこまれ、見知らぬ世界に誘い込まれていくような魅力が感じられる。

 『30 Años de Musica Uruguaya』の第九集に収録されたJorge Barralの曲は全部で8曲。73年にリリースされたソロ・アルバムからのナンバー。基本はBarralのアコギ弾き語りがメインになり、シンプルなPercussionやドラムス、エレキやベースも加わって独特の世界を作り上げている。決して上手いとはいえないVocalも独特の味わいがある。
Hoy El Sol Anaricia”は薄暗がりの中で虚空を見つめながら歌いだすかのようなBarralのVocalが強烈だ。アコギの鄙びた響き脱力Vocalが聴けば聴くほど中毒性の高い味わいを残す。エンディングの投げやりなScatもイイ感じ。
Latinらしい哀愁の感じられる“No Todo Es Blanco Ni Es Negroe”。FunkyなカッティングにPercussion、そしてもの悲しい歌メロ。
まったりとしたノリの“Esto Sigue Igual”。悠然としたタイム感が独特で面白い。
クラシカルなArpeggioが印象的な幻想的な弾き語り“Yo”。
Percussionとベースも加わりFunkyなカッティングから始まるBluesyな弾き語り“No Dejes
De Reir, Nino”。哀愁を帯びたBarralの歌いっぷりが良い。やる気なさげで虚ろ気なScatも素晴らしい。
音数を最小限にした、これまた最高にCoolな脱力チューンTe Veo En Visiones”。この体温低めで繰り広げられる世界は一度ハマると抜け出せなくなる魅力がある。
一転してご機嫌なBoogieの“Se Va Muriendo Mi Aldea”。とはいっても抑え目の淡々としたVocalで歌われるところがBarrelらしい。
引き続きヨレヨレの疲れはてたBoogieチューンChau”。酩酊感漂うVocalとギター・ソロに鄙びたHramonicaが気分である。

◎まだまだ現役のBarralのOfficial WebsiteLa Pagina del Flaco Barral

Con Este Do/Flaco Barral Trio

(Hit-C Fiore)