Tutto Deve Finire/La Seconda Genesi | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 日本のメディア、特にTV局のエンタメ系が堕落して質の低いものしか作れなくなった原因のひとつに、彼らが日本人を馬鹿にしているんじゃないかということが上げられる。別に愛国心がどうこうじゃないが、彼ら作り手の「日本人は皆、同じような価値観で同じような嗜好を持ち、同じようなモノを求めている、だから俺たちがマーケティングでそれを見つけて、彼らを先導していくんだ」的な画一的な考えの下に、似たような傾向の番組しか作ることができなくなった。その姿勢が、質の低下をもたらしていったのは明らかだろう。なんとか流とか、なぜか同じようなお顔の連中が、同じようなシチュエーションの同じようなストーリーでやらかす予定調和の番組は見る気がしない。彼らが思うほど、日本人は、みな同じようなものを求めてはいない。世の中には、もっと色んな価値観があり、楽しみ方もさまざまなのだ。昼時に入った食堂で、たまたま点けてあるテレビに映っているあの光景。会場にいる人々が、司会者の牙を抜かれて飼いならされたサングラスの芸人といっしょに、新興宗教のように「××と×!」と叫んでいる光景を見ると、情けなさを通り越して、苦笑いするしかない。
  かつて究極の手作りアルバムを制作したイタリアのバンドがいた。限定200枚のアルバムのジャケットは同じデザインながら、一枚一枚が手描きで、それぞれ絵の具を撒き散らしたような(ということは200枚ともジャケ違い?)ものなのである。こういうのはマニアの心をくすぐってしまうんだろうね。Roma5人の若者によって結成されたLa Seconda Genesi。Vocal担当で鍵盤奏者Alberto RocchettiとSaxとFlute担当のGianbattista Bonavera、ギター奏者のParide De Carli、ベースのNazzareno SpacciaにドラムスのPier Carlo Leoni

La Seconda Genesiの唯一のアルバム『Tutto Deve Finire』は72年作。
オープニングの“Ascoltarsi Nascere”は幻想的に始まり、Saxの嘶きが、なんとなくFree Jazzな展開に。
FreakyなSaxが時としてOsannaを思わせる“L'urlo”。後半はTalking Fluteも飛び出してマルチ管楽器奏者Giambattista Bonaveraが大活躍。
Se Ne Va Con Noi”は神妙なイントロに続いてイタリアンな濃いVocalが飛び出してくる。
Vedo Un Altro Mondo”はカッコ良すぎなリフとFluteに続いて、また濃い目のVocal、途中のHammondソロ、そしてまた後半のFluteと根性入りまくりのギターの競演。
Dimmi Padre”はFluteとギターのユニゾンのイントロ、Hammondを挟んでこれまたカッコイイ気合の入りまくったリフ、そして再びHammondによる静寂、再び激しくリフの繰り返し。カッティング・ギターにのってFluteが炸裂。すると、Vocalが情熱的に歌い上げ始めて泣きのギターとともにエンディングへ。
美しいアコギの小曲“Breve Dialogo”。
Funkyなギター・カッティングから例によってイタリアンなVocalがのる“Giovane Uomo”はRoll多用のドラムもカッコイイFunky Rock仕様。
最後を飾るのはアコギのArpeggioで始まる“Un'Infanzia Mai Vissuta”。イタリアンな泣きのメロディーが炸裂して大団円で終わるのがいかにもで微笑ましい。
(Hit-C Fiore)