RA/Todd Rundgren's Utopia | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 Toddは大好きだけどUtopiaはチョッとみたいな人が自分の周辺にも結構いる。正直に告白すると、自分もそうだったわけだ。というよりUtopiaの場合は好きな曲とそうでない曲の落差が激しいし、アルバムが丸ごと好きだというのも少ないかもしれない。まずは、Utopiaの大作指向のあたりが、自分としては苦手な部分があったのかもしれない。また、Utopiaは4人組になってから、アルバム全曲ToddがLead Vocalをとることはなくて、たいがい何曲かは他のメンバーがメインでVocalをとる曲があり、そこで結構好き嫌いが分かれるのだ。エゴの塊のようにみられるToddだけど、案外、そういうところは民主的だったりする。でも自分は、ベーシストのKasim Saltonが歌う曲は時としてToddの歌う曲より好きだったりする。この人は、高音でキレイにのびていく美声の持ち主で、KasimがLead Vocalをとる曲はメロディーが良い曲が多い。Kasimが加入したことによりChorusワークもより強力になったUtopiaである。そのKasimが加入し、Utopiaが4人組になった最初のアルバムが本作である。最初に聴いた時は、前述の通り、当時の時代を反映したのか、やたら大仰なアレンジが気になった。でも、たまに聴きたくなる時があるアルバムだから不思議だ。当時のぶっといアナログ・シンセと暑苦しいアレンジやソロの応酬とか、今からは考えられないアナクロの部分が案外面白いのかもしれない。

 『RA』は77年にリリースされたTodd Rundgren's Utopiaの3枚目のアルバム。
一発目は時代を思わせるSynthethizerが飛びまくる壮大な“Overture: Mountaintop and Sunrise/Communion With the Sun”。Kasimを擁するChorus隊が早速大活躍している。ギター・ソロがカッコイイ。
Magic Dragon Theatre”はピアノが印象的なPopなナンバーで、やはり途中でKasimのVocalが登場して存在感を放っている。
Jealousy”はう~ん、ToddのギターとChorusが聴きものとだといっておこう。
KasimのVocalナンバー“Eternal Love”は、美しいメロディーがKasimの声質にピッタリ。
リフがカッコイイ“Sunburst Finish”はメンバー3人がVocalを分け合い、早急なリズム・チェンジを挟みながら途中から例によってRogerとToddのソロ大会。
Hiroshima”はタイトルから察する通り、原爆の悲劇について歌った作品でToddとKasimがHeavyな歌詞を気合入れまくりで歌っている。広島と長崎を決して忘れてはいけないと歌われている。途中で登場する勘違い東洋音階はご愛嬌。感受性の豊かな純粋な人なんだろうと思う。
最後のナンバーは“Singring and the Glass Guitar (An Electrified Fairytale)”はRogerの操るアナログ・シンセが大活躍する大作。ToddのVocalは少し登場するだけだが、ギターが暴れまくる。
(Hit-C Fiore)