300 M.P.H. /Namaz | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 何て気持ち良いのだろう。こんなに気持ち良いもんだったっけ?晴れ渡った青空の下を自転車を走らせるのが、こんなに気分爽快だったとは!何のことはない、これまで車にばかりたよった生活を送ってきた自分が、久しぶりに自転車に乗って思ったこと。そして、機材の運搬など、よほどのことがない限り自動車に乗ることはなくなってしまった。すっかり自転車のトリコになってしまったのである。ジムでは必死に自転車を漕いでいたけれど、外に出て風を切って走らせる快感は、バイクとは違ったものがある。自分の漕ぎ出す一歩、その一歩が着実に前に進む感じが良い。特に坂道などでは、苦しいんだけれど、そこが良い。子供の頃、自転車を乗り回して楽しんだのとは、また違う楽しみを見つけたような気がする。そして何も考えずに自転車を漕ぎだしていると、そう、頭の中を音楽が流れ出すのだ。
 さて、ドイツ出身のNamazというグループ。彼らの名前を知ったのは、おそらく多くの方と同じようにドイツのCompostの『Glucklich』という名コンピ・シリーズ。Glucklichっていうのはドイツ語で幸せな幸運なっていう意味らしい。そして、このコンピの第1集に収録されているドイツのTo Beというグループの曲名でもある。このアルバムには、サブ・タイトルの通りBrazilian Flavour溢れるナンバーが収録されている。以前紹介したKitty Winter Gipsy NovaKlaus DoldingerといったドイツのMusicianを中心に届けてくれた心地良い音楽の数々。当時は夢中で聴いていたものだ。

  『300 M.P.H.』は81年にリリースされたNamazの1stアルバム。リーダーは現在も活動を続けているギター奏者のWerner Goosだろうか。この4人組グループは演奏技術も中々高いし、Goosと鍵盤奏者のJoahim Essaigの書く楽曲も良いが、何と言ってもゲスト参加のRachel GouldScattにつきる。Chet Bakerとの共演でも知られるオランダ出身の彼女は、本格派のJazz歌手。この手のナンバーで多い高音で突き抜けていくScattとは違った、中音域でも艶のある、気持ちHusky気味のScattが素晴らしい。
オープニングはロックなイントロのギターに一瞬驚きつつ、Rachel GouldScattが絶品の“Vom Regenbogen”。ギター・ソロは弾きまくり。
Funkyな“Short Funky”はSlapベースにギターも頑張って、当時の時代感たっぷりのインスト・ナンバー。Jeff Beckあたりに影響を受けたGoosさんのギターがいかにも。
Congress Of Dreams”も時代感が、正にLate 70'sなインスト・ナンバー。
穏やかなイントロから始まり、Rachel GouldのScattが炸裂してFretless Bassが歌う“For Making Me Blue”。
続く“Anticipated Joy”もRachel GouldのScattが印象的な
高揚感に満ちたナンバー。ここではJazzyなソロを弾くGoosとJoahim Essaigのアコピ・ソロもカッコイイ。
またまたBeckなギターにFunk風味の“Movin' Seconds”。
疾走する“Mystic Latin”はKitty Winter Gipsy Novaっぽいけど、よりストレートでシンプル。
何となくJeff Beckを思わせるイントロから始まるBallad“Take Me Away”。チョイとなまった英語はご愛嬌。
ラストは、転がるエレピとベースのSlapが、いかにもこの時代らしいインスト“Cyklus III”。
(Hit-C Fiore)