
ロベカルなんていうと、まずサッカー選手のRoberto Carlos(Roberto Carlos da Silva)を連想する人が殆どだろう。けれど、Roberto Carlosという名前からはBrasil本国ではブラジルのサブちゃんこと歌手のRoberto Carlos Bragaの方を連想する人の方が多いそうだ。以前、その芸能生活50周年記念みたいな映像を見る機会があって、その老若男女を問わず絶大な人気ぶりにかなり驚かされたことがある。この人恒例の年末のショーを見ないと年を越せないという人も多そうだ。元々サッカー選手のロべカル(本当はホベカルだが)の名前も、彼の親がファンであった歌手のRobertoから頂戴したものなんだそうだ。Roberto Carlosといえば、必ずJovem Guardaという言葉が持ち出されてしまうけれど、南米で多大な売り上げを誇り、Rei(王様)とまで呼ばれるRoberto Carlosの本質は波乱万丈の半世紀以上に及ぶ芸能生活の中で、大衆の立場を見続けながら身近な生活に密着した歌を歌い続けてきたきたところにあると思う。あのCaetano Velosoとも同世代であり親交もあることからもわかる通り、単なる恋愛を甘い歌声にのせて歌うだけの歌手ではなくて、多くの人々の共感を得るような姿勢を持ち続けてRomanticなムードを絶やさずにきたこと。そして、大衆目線の歌手としての彼の歌詞にもなるほどと思わせるものがある。
『Roberto Carlos』はRoberto Carlosが78年にリリースしたアルバム。
アルバム1発目はオープニングにふさわしい軽快でSlapベースがチョイFunkyな“Fé”。
イントロのメランコリックな女性Chorusがイイ感じのBallad“A Primeira Vez”。アコギと控えめなStringsもイイですな。
続いても女殺しのBallad“Mais Uma Vez”。
もうベッタベタのBallad攻勢で昼メロに流れてきそうないかにもな歌いっぷりの“Lady Laura”。泣きのギターも殆ど演歌っす。
Balladではあるがチョイと趣きの変わった感じの“Vivendo Por Viver”。しっとりと歌い上げるロベカルさんも悪くないっす。
Hornが入ってチョイJazzyな洒落乙チューン“Música Suave”。あくまでもSweetな歌いっぷりがRobertoさんですな。
続いてもあーべいんで、えーおーあーるな音使いと甘々な歌がお母さんたちを夢中にさせたであろうキラーチューン“Café Da Manhã”。
Stringsも入って怒涛の泣き落とし系Ballad“Tente Esquecer”。Robertoさんも、今にも泣きそうな歌い方で迫ってきておりやす。そしてSweetではあってもあくまでもくどくなりすぎない心使いがモテ男たる所以でしょうな。
この時代らしいTropicalな味付けで迫る“Força Estranha”は一味違うCaetano Veloso作。
これまたエレピやStringsによるあーべいんなアレンジが光るえーおーあーるなArmando Manzanero作のBallad“Por Fin Mañana”。純粋にメロディーもいいっす。
最後をシメるのは、やっぱり男の哀愁系泣きのBallad“Todos Os Meus Rumos”。Jovem Guardaを代表する作家Fred Jorgeの作品。
(Hit-C Fiore)