ま、そのタイトル通り、Harry JことHarry JohnsonのStudioで70年代に録音されたBunny LeeのProduceのDub Mix作品を集めた渋いブツ。ジャケットはイマイチだけど、こういう編集モノは嬉しい。Bunny Leeの70年代の作品はとにかくKing Tubby絡みばかり聴きまくっていた。これは、これで面白かった。Harry Johnsonという人は、中々面白い経歴の持ち主らしい。ベーシストとして活動していたのは知っていたが、カタギの仕事もやっていたらしい。それも、なんと保険外交員。とにかく68年にHarry Jという自らのレーベルを立ち上げたHarry Johnsonは中々のやり手であったのだろう。さらに録音設備も持つにあたり、彼の並々ならぬ意欲と元Musisianであるセンスと、ビジネスの才覚も持ち合わせた手腕は冴え渡る。そしてレーベルは実績を着実に積み重ねていく。Marcia GriffithsとBob AndyのBob & Marciaの再デビュー作などで大アテしたり、Harry J StudioはBob Marley & The Wailersの『Catch A Fire』をはじめとした70年代の主要なアルバムが録音されたスタジオとしても有名となる。StonesやThe WhoもHarry J Studioを使っていたとは知らなかった。60年代末から70年代初頭に、このレーベルで制作されて、イギリスを始めヨーロッパのヤンチャな連中を熱狂させた当時の熱気を孕んだエネルギーに満ちたサウンドはいつ聴いても良い。本作でもSoulfulでなんとも心地良いサウンドがVividなMixでバッチリ楽しめる。
『Dubbing At Harry J's 1972 - 1975』は72年から75年までにBunny LeeがHarry Jスタジオで録音した制作した楽曲をCompileしたもの。まず、楽曲が良い、これが一番。そして、 ド派手じゃないけど実に大人なDub Mix。いや、爽やかで気持ちよいですなぁ。Studio OneのSound Engineerとして名をあげたSylvan MorrisのMixが素晴らしいのだ。さすがDub Specialist。このKing Tubbyとは、また違った渋いながらもツボをつく職人の技が良い。サウンドの奥行き感が楽しめる。この人は信用できますな。堅実で実に味わい深い技能が際立っている。SoulfulなナンバーがひきたつMixは同時期にKing Tubbyが手がけたBunny Leeの作品と比べて楽しんでみたり。それにしても自分のStudioで専属のSound Engineerさんと「ああだ、こうだ」とやり取りしながら毎日思う存分遊べたら楽しいだろうなぁ。
◎ええ仕事してます→From Man to Dub/JackeyBernard
◎こちらは78年のSylvan Morris & Harry Jの『Cultural Dub』から
→Undermind Dub/Sylvan Morris & Harry J
(Hit-C Fiore)