いやいや今頃World Cup予選の話だけど、アルヘン良かったね、ヒヤヒヤしたけれど。そしてAzzurriといえば、なんとも複雑ですな。世代交代が上手くいってないAzzurriは予選こそ組み合わせに救われたものの内容は残念きわまりないものであった。葉巻の怒る顔が目に浮かぶ。ま、本戦出場を決めた試合でも同点ゴールを決めたGilardinoがキプロス戦でもToriplettaキメてくれたのは嬉しいけれど。一方でアルヘンも数々の問題を抱えているようで。W杯本戦でアルヘンもAzzurriも苦しみそうな予感がする今日この頃。個々の身体能力は優れていても点数が取れないアルヘン。苦悩するマラドーナ、頑張って欲しいものですな。それにしても、連携と戦術、中々難しいものがあるようで。
さて、「俺は無敵のドリブラー!」とばかりに強引に突き進むイタリアのAlto Sax奏者のMassimo Urbaniの潔さっていうより破天荒なまでの全力疾走ぶりは心を打つものがある。たとえ無謀なものであったとしても彼の心の叫びには耳を傾けざるをえない魅力を感じるのである。誰もが認める才能がありながらもオクスリ関係が原因で
36才という若さで急逝した彼の若き日のライブ音源を聴くと、本当に惜しい才能を失くしたものだと思う。勿体ないの一言。ここ数年のイタリアのJazz界の盛り上がりは、やはり優秀な人材が雨後のたけのこのように登場してくることにより、より一層の活性化をみせている。熟練された技能を持つベテランと新進気鋭の若手がいい意味でぶつかり合い、刺激を与え合い、交流を深めながらシーンが活況を呈している。かつてイタリアでJazzが人気を失っていった時代が考えられないように、多くの人々がLive会場に足を運び、Jazzを熱心に聴く若いファンも増えてきているという。Musicianの方も、そんな状況に応えるようにベテランも若手も一丸となってJazzシーンを盛り上げている。もしUrbaniが生きていたらと思ってしまう。そんなこともあって、不遇な時代に翻弄されてしまったのかのような末路をたどった不器用な天才Sax奏者Massimo Urbaniに想いを馳せるの今日この頃である。
『Go Max Go』はMassimo Urbaniが81年に残したLive音源。結構、録音状態の悪い発掘音源が次から次へと出てくるのだが、一度でも彼の魅力に取り付かれてしまったら、そんなのは気にならない。むしろ音の悪さも猪突猛進の生々しさを伝えてくれるとさえ考えるのである。Charlie Parkerに憧れた破天荒なAlto吹きがColtraneやRollinsにも影響を受けてHard Bop路線まっしぐらに突き進む姿がここにある。79年にRedで伝説のドラマーBeaver HarrisやピアニストRahn Burtonと実験作ともいえる『360 Aeutopia』を残したUrbaniであるが、この作品では、フリーキーな部分は抑え目の、選曲からいってもわりとオーソドックスな路線。だが、それでも彼の燃え上がるAltoが縦横無尽に駆け巡るさまは迫力満点。音質の悪さでさえ、この臨場感をさらに高めている。
アルバム頭のRollinsの“Tenor Madness”での鋭いブロウ、このキレこそがUrbani。
Birdの“My Litlle Suede Shoes”はUrbaniのスリリングなブロウに悶絶。
Monkの“Rhythm-A-Ning”も最高。
Massimo Urbani賞なんていうのもあるようだ。彼が生きているうちにもっと評価されていたらと思うと、なんともいえない気持ちだ。Urbaniがこの世を去ってからイタリア国内では日増しに評価が高まっているとはいっても、ここ日本では彼の知名度も評価もまだまだ低いようだ。あのGiovanni TommasoやFranco D'Andrea、そしてEnrico Ravaとも共演していた逸材である。奇しくも若きUrbaniと一緒に演奏してたイタリアの女流ピアニストPatrizia Scascitelliも近年、若手もまじえて元気に活動して素晴らしい作品を発表しているだけに残念でならない。
◎Chet Bakerとも共演しているイタリアの名ピアニストAmedeo TommasiとRomaで共演
→A night in Tunisia/Massimo Urbani Amedeo Tommasi
(Hit-C Fiore)