Chicago VI/Chicago | BLACK CHERRY

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 今週から予定されていたChicago来日公演が延期になった。

Chicago Japan Tour 2009公演延期のお知らせ

中心人物のRobert Lammが足を骨折してしまったそう。8月にBill Champlinも脱退してしまったこともあり、バンドは今、大変な状態ではあるだろう。心待ちにしていたFanの方々の心中察するに余りある。Robertの一日も早い回復と元気な姿で再び日本公演で素晴らしいステージをみせてくれることを祈っている。そんな応援も込めてChicagoのことを書いてみよう。

Terry Kath在籍時代のChicagoは大好きであった。勿論、後追いであったのだが、中でも初期のChicagoの真っすぐで希望に燃えた圧倒的なエネルギーが放出されていくサウンドは素晴らしい。ありがちなブラス・ロックと呼ばれたバンドとの大きな違いは楽曲のレベルの高さ優れたセンスである。Terry Kathは過小評価されているMusicianでありギタリストだ。James PankowRobert Lammも優れたComposerでありMusicianであるが、Terryの持つ黒っぽい感覚が特に、自分にはツボであった。初期の、特に『Chicago V』までのアルバムはどれもお気に入りであったのだが、正直言って初めて本作『Chicago VI』を聴いた時には自分には甘すぎてイマイチであった。先に聴いていた次の作品『Chicago VII』は2枚組でインストも歌モノも完成度が高い傑作であったので本作は自分にとって期待していた音と違っていたということなのであろう。今聴くと意外に面白い。初期のAggressiveだったりProgressiveな部分は薄れてはいるが、聴きやすい。秋の夜長に聴くにはピッタリの作品だったりするのだ。つまり、このアルバム『Chicago VI』は前後の作品とは違った楽しみ方ができる。よく聴けば、初期に比べ軟弱になってはいるとはいえ、サウンドは実に味わい深いのだ。


 『Chicago VI』は73年に発表されたChicagoのアルバム。この作品はRobert LammTerry Kathに比べてJames Pankowがキモとなっている。そしてPeter Ceteraの存在感も増してくる。

Terry Kathを失って以降のChicagoについては自分の興味から外れていった。特に80年代のChicagoは自分にとって苦手であった。と、いうより自分にはキビシイ音であったので殆ど聴いていないのであった。だから熱心なChicagoのFanではないかもしれない。初期ばかり絶賛しているが、少なくとも本作からTerryの最後の参加作『Chicago XI』までは、甘口すぎるBalladを除けばPops作品としては悪くはない。あくまで初期の作品と比べなければの話であるが。このアルバムはあくまでも初期のAggressiveで実験的なサウンドを目指そうとするRobertやTerryと商業的な成功を築きあげた大衆的な路線を継続しようと主張するPeter Ceteraと音楽的な方向性の違いが明確化する時期の作品。Funkyな路線やC&Wなど、さまざまな可能性に挑戦しつつも土臭さやPopな部分が同居しているところが面白い。なんとなく前作で大活躍したRobertに迷いが感じられるような気もするが、試行錯誤の時期だったのだろうか。それでも80年代の作品に比べれば段違いに素晴らしい。一聴して地味に感じてもジックリ聴くと実はアレンジが考えられていて面白い。

Robert Lammの弾き語り“Critics' Choice”でアルバムはスタートする。

James Pankowの作品“Just You 'N' Me”はこの頃のPeterのVocalの為に書かれたようなPopなナンバー。イントロのキャッチーなブラスのフレーズも印象的でコンパクトに当時の彼らの魅力を凝縮したアレンジは流石。

Darlin' Dear”でのTerryのギター、ブラス・セクションも実にアーシーで、前作の洗練とは違った泥臭さが味になっている。

やっぱりTerryのペンによる“Jenny”が個人的には一番のお気に入り。黒人音楽の影響が強く、あくまでもロックな攻撃性も持ち続けるTerryのギターやVocalはカッコイイ。愛犬が登場する意外に和み系の歌詞も面白い。

What's This World Comin' To”はChicago流Funk。

Percussionが心地良い“Hollywood”やRobertがエレピを弾きながら歌う“Rediscovery”のFunky風味も好きだ。

◎やっぱりコレですな

What's This World Coming To?/Chicago

◎TerryのFunkyなギターがカッコイイ→Just You 'N' Me/Chicago

(Hit-C Fiore)