Things That I Used To Do/ Pee Wee Crayton | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

BLACK CHERRY



 影響を受けやすい方であった。Bluesを聴き始めたのはかつて同じ工事現場で働いていた人に薦められたのがきっかけだった。彼はT-Bone Walkerの熱烈なファンで、TexasWest Coast Bluesにも滅法詳しかった。バイト代が入ると、自分より年上であった彼が連れていってくれたのはBlues Bar。正直いって当時の自分はBluesの良さがまったくわからなかった。それでも、そのBlues Barの雰囲気は好きだったのでよく通ったものである。マスターもとっつきにくそうな外見と口調とは裏腹に、Blues初心者の自分に色々と教えてくれた。その店はもうなくなってしまったけれど、マスターに教えてもらった音盤をCDで買っては当時の事を思い出すのである。当時、T-Bone WalkerよりPee Wee Craytonの方がギターが上手いという人がいて、Barでチョッとした論争が起きた事があった。バイトの同僚の方は勿論、T-Bone Walkerの方が上だと主張して譲らない。当時の自分にはまったくわからないのだが、マスターが激しく言い争う2人を仲裁してかけてくれた音盤がPee Wee Craytonの『Blues After Hours』というレコード。もう、どっちが上か関係なしで気に入ってしまったのだ、Pee WeeのギターとヘロヘロのVocalに。コード・ソロがカッコイイ。9thカッティングがカッコよすぎ(コレってJB'sみたいだと思った)。荒々しいまでに攻めのBlues GuitarはPunk上がりの自分にも分かりやすいカッコ良さ。ほどほどJazzyなのはT-Bone譲りか。さらにBallad系も情けないVocalが意外にも味なのだ。哀愁があって泣ける。で、Pee Wee Craytonの音盤を捜し求めるようになったとさ。


 『Things That I Used To Do 』は70年録音の作品。

この頃には50過ぎてたのかな。年取ってから凶暴さが増していくのも、この人の面白いところ。ジャケットもいい顔してるし。初期の小粋でJazzyなムードも好きだけど、攻撃性が増しているこの辺もラフな魅力がある。バンドも小さくまとまっていないところが良い。細かい事は気にしないでガンガン行こうぜ的なヤクザなノリが個人的に気に入っている。8Beatなノリも取り入れつつチョイと下世話な感じも増して、このWildで気怠いBluesオジサンに夢中になってしまう。

30歳を過ぎてからギターをT-Bone Walkerに教えてもらったという遅咲きながら結構なテクニシャン。にしても基本は攻めと言うPunkなところが気に入った。Vocalも上手いとはいえないが、変にくせになる魅力がある。

なんといっても大好きなThe Johnny Otis Showとのアルバム『Live At Monterey』での名演が素晴らしいアルバム・タイトル曲“Things That I Used To Do”。

Pee Wee Craytonは来日した事もあって日本でも人気があったという。その生演奏を観てみたかった。

                        Hit-C Fiore