よく街を歩いていていると、ふと耳にする音楽が、やたら音を詰め込みすぎて音圧もスゴイ事になってなっていたりする。ブラブラと街を歩いていて、どこかの店のドアが開きざまに、いきなり流れ出してくる音楽。これでもかと攻め立てられているよう。只でさえ慌しい日常に追い討ちをかけられるような仕打ちである。従って可能な限り、繁華街に出かける回数を減らして、明け方の小鳥のさえずりに安らぎを求めてしまう今日この頃。
スカスカの音、単純なフレーズの繰り返しの気持ちよさが昔から好きだ。
1978年にCardiffで結成されたYoung Marble Giants。この3人組が作り出す必要最小限の音が気持ちよい。バンドを組もうとしてVocalがいないので、とりあえず近所の女の子に声をかけてみました、というような素人っぽさが良い。「若き大理石の巨人」なんてバンド名のわりに出てくる音がショボクて、そんなところにPunkを感じたりして。
Alison Stattonの垢抜けない田舎の少女っぽっさが残る脱力したVocalが素晴らしい。そして、そっけなく歌う彼女の節回しのそこかしこに見え隠れするBritish Tradな部分にマイってしまうのだ。彼らはたった1枚のアルバムと素晴らしいEPを残して、あっけなく解散してしまう。このBandが解散後、Alison StattonはWeekendを結成するけれど、そこには垢抜けない田舎の少女の姿はない。(歌は相変わらずだけど)→83年のAmsterdamでのLive時の写真
Young Marble Giantsは素朴でシンプルなサウンドとともにAlison Stattonが歌う何気ない日常を抽象的に描き出す歌詞も気に入っている。やり場の無い怒りと苛立ちが渦巻いたイギリスのPunkシーンを尻目にリズム・マシーンが淡々とビートを刻む中で、つぶやくように歌うAlison Statton。チープなオルガンとギターのMoxham兄弟の演奏はヘナチョコであるがゆえに妙に説得力がある。そういや、Moxham兄弟が結成したthe Gistも結構好きだ。
『Cossal Youth』はYoung Marble GiantsがRough Tradeに残した唯一のオリジナル・アルバムで80年の作品。
このアルバムはNirvanaのKurt Cobainもお気に入りだったという。
Hit-C Fiore