「世界の○○○」と呼ばれた日本を代表する企業が全世界で正社員・非正規1万6000人削減する事を発表した。アメリカ人であるこの企業のトップはCEOに就任以来、一体何万人の人員削減をしてきたのだろうか?
リストラによる人員削減をして利益確保するというのは経営者にとって一番安易な方法である。
派遣社員や正社員はクビにしても、経営陣の報酬削減という話は聞こえてこないようなのは気のせいか?
外資の要求で株主配当は増え続け、役員報酬もかつての日本では考えられないほど増えていった。
その裏で企業は正社員を減らし派遣社員を増やして利益を追求していった。正社員はサービス残業をして働き、派遣社員は見えない明日を探して必死に働いていた。
株主配当や役員報酬は増え続ける一方で労働者の低賃金化は進み、労働分配率は低下していった。
戦後最大とさえ謡われたハリボテの好景気は、こうして支えられていったのだ。外需の追い風も受けて。
大企業や富裕層がもっともっと富めば、貧しい者にも自然に富が浸透するというTrickle Down Theoryという詐欺も、とうとう見破られてしまった。
「派遣制度のおかげで、派遣労働者は失業者にならずにすんだ。」などとホザいていたポチの子分の御用学者の本音は低賃金で働く使い捨て労働者のおかげで株主配当も役員報酬も大幅に増えてハゲタカ万歳!だろう。
そういえばこの男こそTrickle Down詐欺を得意げに吹聴した主犯であった。
Sleepy John Estesが極貧の状態で水道も電気も通っていない掘っ立て小屋の中で発見されたのは62年だという。戦前に約50曲の素晴らしい録音を残して消息を絶ってしまった伝説のBlues Man。そんな男が極貧の中から立ち上がり、再びギターを抱えて歌うBlues。
『The Legend of Sleepy John Estes』
貧乏生活を歌うその歌詞も、独特のハイトーンの歌声も、かつての若い頃に比べりゃ、情けないものかもしれない。
しかし何とも魂を鷲掴みされてしまうような歌であろう。
どん底にあってもへこたれない、自分の情けなさを笑い飛ばしてしまうシブトイ生命力。
干からびてハリを失った歌声のリアルな弾き語りに心を動かされないヤツはいないだろう。
だからといって押し付けがましいものではない飄々としたところがSleepy John Estesの魅力だ。
このBlues爺の切実だけど笑ってしまうような生活を歌ったBluesは悲壮感を煽るものではないのだ。
自分の家の中で暴れる鼠に逆に追い出されてしまう悲哀を歌った“Rats in My Kitchen”。思わず笑ってしまう。
“Diving Duck Blues”では「河がもしウイスキーだったらアヒルになって、そこで暮らして生きたいぜ」と歌っているのが最高だ。
まるで達観してしまったかのような世界である“You Got to Go”も大好きなナンバー。
“Drop Down Mama”も長年連れ添っていた相棒Hammie Nixonの哀愁のハーモニカと軽快に歌い上げるSleepy John Estesの男の気概がしみるナンバー。
Hit-C Fiore