Get the Ball/Release Music Orchestra | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 コレはジャケ買い

何回も書いているが、ドイツに沢山いるユニークな70年代ロックバンドのジャケットは購買意欲を減退させるジャケットが多い。彼らは、このせいで、かなり損をしているような気がするが、ある意味狙っているのだろうか?

Release Music Orchestraというグループも例外ではなくデビュー・アルバムなど何を言いたいのかさっぱり分からないジャケットであった。

そんな中で、このアルバムを見つけた時、思わずグループ名をもう一度確かめてしまった。大好きなジャケットである。こうなると逆に内容が心配になってくるのが人情ってもんだ。

しかし、そんなのは余計な心配であったようだ。内容的にはかなり満足のいくアルバムで、こういう作品こそCD化して多くの人に聴いて欲しいものである。

Release Music Orchestra60年代末に結成されたTomorrow's Giftというバンドが母体となっている。Ellen Meyerという女性Vocalを中心に、ドイツらしい混沌としたサウンドを持ったTomorrow's Gift。同じドイツのFrumpyJoy UnlimitedのようにBluesSoulの影響を受けた女性Vocalを擁し他のメンバーの様々な音楽性がバンドに反映された点が共通していた。Tomorrow's Giftのデビュー・アルバムは変拍子を使ったり、FluteやPsycheなOrganに加えてバタバタしたドラムが、直向にオリジナリティを確立しようとする彼らの姿を伝え、微笑ましくも時代を感じさせた。ところがアルバム1枚で中心メンバーであった鍵盤奏者のManfred RürupとBass奏者を残して他のメンバーは去ってしまう。2人はドラムに他のバンドから引き抜いた逸材Zabba Lindnerを加えたトリオ編成となった。このトリオはSpiegeleiにConny PlankのProduceでアルバム『Goodbye Future』を残す。その後、彼らは新たにメンバーを加えてRelease Music Orchestra誕生する。その過程で先のトリオはGuru Guruを脱退したUli Trepteとも接触を持ちLiveも行った模様。(この音源が、もし残っているなら欲しい。)

 Release Music Orchestra74年BrainレーベルからLiveの模様を収録したデビュー・アルバムLife』を発表する。これは彼らの初ツアーの模様が含まれており、演奏は荒いものの生々しさを伝えている。



 『Get the Ball』はBrainレーベルから76年にリリースされた3枚目のアルバム。

前作『Garuda』もConny PlankがMixでかかわり、KraanのSax奏者Alto Pappert等のゲスト迎えて充実したジャズロックを聴かせてくれていた。本作ではオリジナル・メンバーでClarinetSoprano Sax奏者のNorbert Jacobson脱退している。マルチ奏者である彼のJazzyなプレイはRelease Music Orchestraの特徴の1つでもあった。また前作ではHorn隊の活躍が目立ったが、本作ではゲストにTrumpet奏者を迎えてはいるもののリズム隊と変幻自在なManfred Rürupの鍵盤が全面に出てきている。さらに前作から加わった女性Vocal、PercussionのMargit Maya Haberlandが存在感を増している。また、残念な事にドラムのZabba Lindnerが参加した最後のアルバムとなってしまった。手数が多かった独特のドラミングも洗練されてきて本作のZabbaのドラミングはKraanJan Frideと並ぶくらい気に入っている。特にスネアの音が好きだ。また前作まで顕著であったHornが減った分、CoolでFunkyな要素が全面に出ている。面白いのはTomorrow's Gift時代からの盟友Carlo Kargesをゲストに迎えている事。彼はNovalisや後にNenaのバンドに参加していたギタリストとして有名である。

冒頭を飾る“Mestaloggo”はメンバー4人の共作。ZabbaとBassのFrank Fischerが作り出すDopeなGrooveが素晴らしい。ギターでCarlo Kargesが参加している。

Sundance”は静かなオープニング。美しいFender Rhodesのコード・ワークをバックに曲が淡々と進み、Moogが妖しく響いていく。Percussionが効果的だ。女性Scatはエレピとユニゾンしていく中で繰り広げられるManfred Rürupの色彩感溢れるプレイはHancockを彷彿とさせる。この曲は彼らの代表曲ともいえるのかもしれない。

Blackbird”はClavinetやMoogがウネリながらErectricalな音響の中でMysterious女性Vocalが入り、TrumpetのソロがCoolに響いていく。鍵盤は多彩な技を繰り出しつつドラムが徐々に煽りながら演奏はクライマックスを迎える。青白い炎を燃やしながら徐々に白熱していく様が素晴らしい。


Zabba健在で相変わらず叩いてます。

↓中々この爺はお茶目である。しかし、このドラムセットは(汗)。

Zabba lindner in Herxheim            

                    Hit-C Fiore