Sons Of Champlinは60年代に結成されたSan Franciscoのバンド。
現在Chicagoのメンバーでソロ活動もしているBill ChanplinがSaxのTim CainやギタリストのTerry Haggertyらと結成した。
鍵盤とVibraphonも演奏するマルチ・プレイヤーのGeoff Palmerをメンバーに含み展開されるアンサンブルは見事だ。
初期のSons Of ChamplinはBill ChamplinのVocalにFunkyなHorn隊とHammond B-3、時代を反映したサイケなギターが絡み合うのが印象的なバンドだった。
Jazz的なバックボーンに加えてBay AreaらしいFunkやPsychedelic Musicが入り混じったサウンドは個性的。
同時期にHorn隊を擁して"ブラス・ロック"と評されたChicagoともLive Performanceの素晴らしさ、反戦と平和のメッセージを強く訴えると言った点でも共通点があった。
しかし,あくまでもCommercialismを否定しHippie的な連帯感を身に纏った彼らのサウンドは枠にはまらない。
Jam Band的な自由奔放な演奏も彼らの売りで地元San Franciscoでは人気が高かったが全国的に大人気を博す事はできなかった。
67年に幻のデビューアルバムを録音するも発表されないまま(後年に『Fat City』として発表。)彼らはCapitol Recordsと契約して69年に正式なアルバム『Loosen Up Naturally』を発表。この2枚組のアルバムの完成度は高く、個人的には彼らで一番好きな作品である。
彼らは名前をThe Sonsと短くして2枚のアルバム『The Sons』と本作『Follow Your Heart』を発表する。
『Follow Your Heart』は71年に発表された。
このアルバムではSons Of Champlinの大きな特徴であったFunkyなHorn Sectionが入っていない。
本作は解散状態にあった彼らが、レコード会社の契約条件を満たす為にメンバーを集めて制作されたとも言われている。
オリジナル・メンバーのSax奏者Tim Cainが抜けており、その事が逆にTerry HaggertyとBill Champlinの2本のギターの絡みを際立たせている。
元々、ギター・バンド的な魅力もあった彼らだが、それに当時の彼らにかかせない紫の煙ムンムンのイッチャイ方が加わって売れ線なんかまったく意識しない曲の展開が面白い。
それにHammondとVibraphnが加わり、リズムが目くるめく様に変化していく。
ヒットしやすいように曲をコンパクトにまとめようなんて気は一切なく気が向くままに曲が進んでいく。
ギターやHammondのインター・プレイが炸裂して、曲によってはTrippyなサウンドも飛び出してくる。
Bill ChamplinのVocalも熱く男っぽいが、時には囁くように多彩に変化していく。“Before You Right Now ”はアルバムのオープニング曲。Falsettoでピアノの弾き語り風にスタートする。リズム・チェンジしてどんどん曲が展開していく彼ららしい曲。7/4拍子でギターとHammondのソロの応酬。良くも悪くもJam Band的佇まい。小さくまとまらないところが好きだ。
“Children Know” は語りかけるようなバラードだが終わり方が幻想的。
“Hey Children” はSoulfulなBillのVocalが際立つナンバー。ストレート一本勝負と思いきや、この曲もリズム・チェンジが頻繁に行われていく。
“Follow Your Heart”はイントロでの2本のギターが絡むリフにアコギとHammondも加えたアンサンブルが心地良い。Positiveなメッセージを高らかに歌い上げていく。イナタい感じも好きだ。後のDavid FosterがProduceしたアルバムでもアレンジを変えて再演している。自分は断然こちらの方が好きだ。
“Beside You” も流麗なギターのアンサンブルが素晴らしい曲でVocalが入ってくると、あっという間に終わってしまう。
次も短い“Headway”という曲でギター・ソロが始まったかと思うと終わってしまう。
“The Child Continued” は5拍子のアコギとVibraphonが幻想的な始まりだが、Hammondが入ると熱くなる展開。静と動が何回も繰り返すのは彼ららしい。
“ A Sound Love”はWaltz調の曲で、この曲もFluteとVibraphonが神秘的な導入部。終盤でのBillのScatが一層、不思議な世界を演出している。
最後に“Well Done”のようなAggressiveなノリが良い曲をもってくるのが面白い。BillのVocalもエネルギッシュ。それにしてもTerry Haggertyのギター・ソロはムチャなといわんばかりに左手が追いつかないのに強引なまでに弾きまくるところがあって、それが味になっている。
Hit-C Fiore