ひたすら気持ちいい音。
元Misty in RootsのTony HenryのぶっといDopeなベースライン。
そしてRoots radicsにいたStyle Scottのドラムの気持ちイイ事。
Creation Rebelの『Starship Africa』はデビュー作『Dub from Creation』の
リズム・トラックを取り直して制作された。
スゴイのは、完成されたトラックに斬新なドラミングを何なくオーヴァー・ダブ
してしまうStyle Scott。
『Dub from Creation』は実際はエンジニアのDennis Bovellが仕切っていたの
だろう。
Dennis BovellというBritish Raggaeの先達がいて、続いてMad Professorや
Adrian Sharwoodらが活躍するのだ。
BovellこそDubとPunkとの架け橋になったのだ。
しかし、『Dub from Creation』と『Starship Africa』を聴き比べて感じた事は
Adrian Sharwoodの音の組立て方の斬新さである。
明らかにPunkなEffect使いにしても、当時としてはカナリぶっ飛んでいたの
だろう。
On-U Soundは、Punkあがりの自分にとってDubにはまり込むキッカケとなった
レーベル。
このレーベルから出された作品は本来のDubを知る人にとっては、賛否両論
どころかトンでもないものであったろう。
そして自分はAdrian Sharwoodを知ってから、やっとルーツ系を辿っていって、
その深さを知る事になる。King Tubbyも Lee Perryも知らなかったのだ。
だからこそ、Adrian Sharwoodは当時の自分にとって特別の存在だった。
Sharwoodについてはイギリス人ならではの感性がRaggaeと出会って、
過激な音を追求して変容していく様が面白かった。
Prince Far-Iとの出会いがLondon生まれの1人の白人少年の運命を変えた
のだ。
それはPunkとReggaeやFunkが幸運な出会いを果たした時代に、刺激的で
気持ちよい過激な音を求めていった人々の心をとらえた。
New Age Steppersの1stアルバムと本作品は、今でも無性に聴きたくなる音
である。
『Starship Africa』は80年に、On-U Soundの前身である4D Rhythmsから
リリースされた。
Dennis Bovellがエンジニアとして参加しているが、前述のリズム隊の破壊力と
リヴァーブとディレイでグシャグシャに解体された音像が、素晴らしい。
『Dub from Creation』も好きな作品だが、本作は明らかに別格のカッコ良さ。
なんといっても重心の低いボトムと、効果的にエフェクトされて飛び交う上モノ
の対比が素晴らしい。
まだまだ荒削りなSharwoodのぶっ飛び方がPunkである。
このアルバムを聴いていると、彼らが作り上げた架空の世界に迷い込んで、
出られなくなってしまう。
それはP-Funkの連中やMagmaや勿論、EW&FやPrinceが作り上げた
架空の世界とはまったく異なるのだ。
ダークでどこまで行っても行き着くことの出来ない、果てしない闇のような世界。
ヤバイ香りがプンプンする上に攻撃的なのだが、やたらCoolな音。
しかし、その心地よさはどうだ。
そして個人的にはTony Henryのベースラインにヤラレた。
Dubは重たいベースに尽きる。
Hit-C Fiore