以前「男どき…」には少し触れました。前回記事 参照。
2作品共に、日常の生活に潜む微妙な心理(ちょっとした不満、とか)を
サラッと描いており、ドキリとさせられる。
一見平凡に見える暮らしにも小さいドラマがあったりする。
気付いてるのに気付かないふりしたり、心を見透かされたり…。
おとなしく従順だと思ってた妻に他の男の影がちらつき…とか、その逆つまり
夫に他の女が居るようだ…とか。
大事件が起きるわけでもなく、かといって何も起きなくもない日常を淡々と描く、
その向田作品の雰囲気が好きだ。
男と女というよりは、むしろ夫婦あるいは親子を描いたものが多いかも。
向田作品を何故か盆暮れに無性に読みたくなるのは、家族の話が多いから
だろう。
両方の装丁の画風が似てると思ったら、案の定同じ方で、風間 完さん。
素朴でレトロで、素敵だ。
向田さんの文章は言葉遣い・表現が綺麗で、品がある。そして全体の雰囲気が
なんだか‘しっとり’してる感じがする。
また会話のテンポがゆったりとしており、読んでいると作品が描いてる
昭和の時代にタイムスリップし、ちゃぶ台で茶を飲みせんべいをかじってる
かのように錯覚する。
爆笑問題の太田氏が、向田さんの大ファンだそうな。
惜しい人を失くしたもんだ。
byヴィヴィ