Laid Back /Gregg Allman | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 Gregg Allmanの魅力を説明せよ、と言われても困る。というより、この人のダメ男っぽさが入っていると言うのは、本人にとっても失礼極まりないな話だろうし。しかし、気だるそうに歌う、決して上手いとは言えないVocal(これまた失礼)に漂う、情けなさ、哀愁が、気に入っているのである。Allman Brothers Band(以下ABB)は大好きなバンドだ。最初はDuane AllmanDickey Bettsのツイン・ギター、とりわけDuaneのギターに夢中になって、正直GreggのVocalについてはピンとこなかった。それどころか、余り好きではなかったと言った方がいいかもしれない。
しかし、そんなGregg Allmanの魅力がわかるようになったのは、彼のソロ・アルバムに接してからである。結局Greggの最初のソロ3作品(『Gregg Allman Tour』「含む)は全て大好きである。

 『Laid Back』は73年にリリースされたGreggの最初のソロ・アルバム。まだABB在籍中に発表された作品でABBのセルフ・カヴァー2曲を含んでいる。最初に聴いた時は大仰なストリングス・アレンジが邪魔のような気がしたし、Greggのダルな歌いっぷりも相変わらずで良い印象を受けなかった。しかし、バックを固める連中の演奏に耳を傾けながら、何度も聴き重ねていくと、Greggの気負いのない、大らかとも言えるVocalに惹きこまれていく

のがわかった。そしてABBとの差別化というか、より音楽性の幅を広げたGreggと仲間達のコラボレーションが上手くかみ合っている。バックを固める連中が自分の持ち味を発揮して実にイイ味を出している。ABBに加わったChuck LeavellのFunkyなピアノはいうまでもなく、Cowboyの2人、Scott BoyerTommy Taltonが実に渋い。Cowboyのアルバムを集めたのは、このアルバムがきっかけだった。

Midnight Rider”はABBのヴァージョンよりも、ゆったりしたノリでChuckのエレピが光るが、やはり、このストリングスのアレンジは苦手である。

そして、なんといってもJackson Browne作の“These Days”、これに尽きると個人的には考えている。

Tommy Taltonが弾いてると思われるPedal Steel、Chuckのエレピ、Scott Boyerアコギの絡みが心地よく、GreggのVocalもダメ男な歌詞にピッタリで、このアルバムで一番好きな曲である。

Multi-Colored Lady”のGreggも哀愁たっぷりでMemphisでバスに乗ったという一節で始まる南部の大人の御伽話のような歌詞も良い。聴き終わると心が暖まるような、この曲も大変気に入っている。

All My Friends”はScott Boyer作。

ゴスペル・コーラスが彩りを添えて、南部の風が吹く感じ。

ゴスペル・コーラスが圧巻のトラッド“Will the Circle Be Unbroken”で幕を閉じる。


               Hit-C Fiore