当時17歳と18歳だったという女性二人組Althea&Donnaが、78年に英国シングル・チャート
でNo.1を獲得した “Uptown Top Ranking”という曲が大好きである。
Joe Gibbsがプロデュースした、この曲はAlton Ellisの“I’m Still In Love”が元歌。
Trinityの“Three Piece Suit”へのAnswer SongとしてJoe Gibbsのレーベルから発売された。
彼女達は、このReggae Classicとなるヒット曲のみの一発屋として認知されているけれど、実は
Karl Pittersonのプロデュース&エンジニアリングでFront Lineから発売された、同タイトルの
アルバムも出来が良いのである。(同曲の再録音を含む)
なんたってRevolutionariesのリズム陣&Horn隊が参加しているのだから悪いわけがない。
Sly & Robbieの鉄壁のリズム隊を中心とした、男気全開のタイトなバッキング陣と、いい具合に
力の抜けた女性二人組の初々しい歌声との対比が実に素晴らしい。
アイデアに富んだ演奏部分にのっかっている脱力したToastingやCuteなVocalが、いつ聴いても
幸せで新鮮な気持ちにさせてくれる作品である。
全体の音の作りがPeter Toshっぽいと感じられるのはKarl Pittersonが関わっているからか。
ちなみに彼はELPの『Love Beach』のエンジニアリングもやっている(どうでもいいか)。
Althea&Donna唯一のアルバム『Uptown Top Ranking』は78年に発売された。
“No More Fighting”はハードボイルドなバック陣を従えて、あどけないながらも味のあるVocalを
聴かせるAltheaとDonnaのアンバランスな魅力がオープニングから聴き手を魅了する。
続く“Jah Rastafan”もマイナーな曲調だが、2人のコーラス・ワークが素晴らしい。
さりげなくサウンドにノリを与えるBernard“Touter”HarveyのOrganとEarl“Chinna”Smithのギター
も最高である。
“Make a Truce”はFatなRobbie ShakespeareのBassに導かれて始まってScullyのミニマルな
パーカッションと所々に入るSaxが心地よい。
“Oh Dread” はSly Dunberの変幻自在なDrumsの技(特にハイハット・ワーク)が堪能できる。
全体の緩やかなノリを引き締めDriveさせるRiddim Twinsの妙技。
SlyがHalftime Shuffleで叩き、ウラに入れるハイハットの気持ちよい事!
“Uptown Top Ranking”は大ヒットした先のシングルとは別ヴァージョンで、個人的にはどちらも
甲乙付けがたい位好きだ。
イントロからしてキャッチーで、こういうのをキラー・チューンと言うのであろう。
それでいて歌詞は結構シリアスで腐敗する政治家をコケにしていたりする。
正にGreat Roots-era Classicである。
“The West”はマイナー調ながら浮遊するHorn隊と2人のVocalが心地よく、よくあるパターンの
Bass抜きの部分やミニマルなSlyのハイハット・ワークは絶品だ。
その名もズバリ“Jah Music”もリズム隊が素晴らしい。
ポコポコ気持ちよいパーカッションと、ほどよいユルさのTromboneソロがタイトなシンバル・ワーク
に乗って実に気持ちよい。
“Sorry”は2人の奏でるハーモニーが愛らしくバックのHorn隊もイイ感じで、ここでも緩やかに風を
運ぶようなTromboneが良い。
最後の曲“They Wanna Just”は少し大人びた哀感のあるVocalを聴かせて、ブリティッシュな香り
を漂わせるナンバー。
Hit-C Fiore