Follow Me | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 今頃になって過ぎ去ってしまった夏を惜しんだりしている。毎年の事だが。

毎日、海に行っていた学生の頃、どんどん人が減っていって寂しくなる浜辺で、のんびり音楽を

聞きながら辺りが暗くなって本が読めなくなるまで気が抜けたように過ごしていた事を思い出した。

あの頃、真っ黒に日焼けして馬鹿騒ぎをしていた仲間も今ではすっかり真っ当な社会人になって、

パンドラの箱のように開かれ、徐々に見えない実態を現していくサブプライム問題について考えて

いるのだろうか?

 大好きなDavid Gates絡み、そして思わずジャケットの素晴らしさで買ってしまったサントラ盤

ついて。

過ぎ去りし夏を思いながら聴くと、これが良いのである。

黄昏た浜辺に佇むロングヘアーの女性を写したジャケットも気分だ。

Follow Me』は69に発表されたサーフィン映画のサウンドトラック。

HawaiiMoroccoPortugalやらHong KongBig Waveを求めて世界各国を渡り歩く3

の若いSurferを描いた映画だそう。

プロデューサーであるStu Phillipsは個人的にはパッとしないと思うソロ・アルバムを出している

印象だが、このサントラは奇跡的に気に入っている。

David Gatesが関わっている曲は言うまでもないのだが、それ以外の曲でも、映画に合わせて

Phillipsが世界各国のWorld Musicを自分なりにイメージして作ったインストが面白い。

Exoticな雰囲気に、勘違いぶりもスパイスとして結構楽しませてくれる。

とはいっても、このアルバムの白眉はやっぱり主題歌だろう。

Thru Spray Colored Glasses”は、なんともいえない、あの眩く爽やかで甘酸っぱくて切ない

夏を思わせる名曲。

この曲の美しい歌とコーラスはDino,Desi,Billyという3人組が担当。

なんでもDean Marinの息子さんもいる当時のちょっとした人気トリオのようで60年代に活動し、

Brian Wilsonとの接点もあった人たちなんだそう。

しかし、この曲の完成度の高さは驚きである。

曲のクレジットはStu PhillipsDavid Gatesとなっている。

いずれにしてもGatesという天才ソング・ライターの片鱗が見える楽曲である。

Bread結成前のGatesはセッション・ミュージシャンとしてだけではなくソング・ライターと

しても、かなりの売れっ子だったのは有名。

そしてLeon Russelの紹介でUniレコードからデビューするPleasur Fairというグループの

プロデュースを手がける事になるのだが、そのグループには後のBreadのメンバーとなる

Robb Royerがいた。そして、この仕事でJames Griffinとも出会い、これが68Bread

の結成につながる。

サントラ盤『Follow Me』は、このUni レコードから69年に発売されている。

Breadが結成された翌年である。


                   Hit-C Fiore