まだ幾分冷たい風に吹かれて、せっかく咲いた薄紅色の花が散らないといいが。
夜、風に揺れる桜を横目に散る前に楽しもうかなんて暫し立ち止まったりして。
春を運ぶ夜風に吹かれながら歩いているとなぜか、ふと思い浮かぶ曲がある。
Starbuckというグループの“Moonlight Feels Right”という曲。
印象的なMarimbaのソロと「Feels Right」と歌うVocalが文字通り心地よいPops。
MarimbaにしろXylophoneにしろ、木の響きって何て心地よいのだろう?
もしかして、自分が初めて触れた楽器は家に偶然置いてあった木琴だったのかも
しれない。
だからというわけはないが、心地よいだけじゃなく、なぜか郷愁を誘われてしまう。
Xylophoneというと、Godley&CremeやZappaが上手くサウンドに取りいれている
のが印象的。
でMarimbaといえば、真っ先にStarbuckのこの曲が思い浮かぶ。
Orchestraで演奏されるよりは民族音楽で演奏されるMarimbaの音が好きだ。
南米では古くから演奏されるこの楽器の音は、本当に人間的で暖かい音だ。
『Moonlight Feels Right』は76年に発表されたStarbuckの1stアルバム。
実は、個人的にはアメリカでヒットしたというタイトル曲よりも、アルバムの他の曲
の方が好きだったりする。
黒人音楽の影響を受けつつもMarimbaやシンセサイザーを使ったサウンドに
力の抜けたVocalがのると、これが凡百のポップス・バンドにはない味がある。
それにしてもリーダーのBruce Blackmanの書く曲は、何気ないPopsのようで
いて少し風変わりな、そして巧妙なアレンジが隠し味となっていて面白い。
この人はEternity’s Childrenの名曲“Mrs.Bluebird”を書いた人だったりする。
元々、Eternity’s ChildrenはBruce Blackmanが結成したグループなのだが、
デビューアルバムを製作中にBruceは脱退してしまうのである。
Eternity’s Childrenは非常にクオリティの高いPopsを残したグループでBruce
が在籍していた頃はサイケデリックの香りがするガレージっぽさが残っている。
1stアルバムはCurt Boettcherがらみで語られたりCurtから離れた幻の名作
扱いの2ndアルバムもコーラス・ワークと展開の凝った名作だ。
さて、Bruce BlackmanがEternity’s Children脱退後に結成したのがStarbuck
なわけで、彼のソングライティング能力がこのグループを単なるポップス・バンド
とは違うものにしている。
Hit-C Fiore