秋も深まってきた今日この頃。
以前、Heronという英国のグループを紹介した。
Heronの1stが正に初夏の木漏れ日を思わせる音だとしたら、柔らかい光が
差し込んでくる秋を思わせる作品を紹介したい。
ジャケットからして正に叙情的な雰囲気が漂う、Harmoniumというグループの
2ndアルバム『Les Cinq Saisons』。
幻想的なサウンドに包まれてフランス語で歌われる秋の甘美な夢の世界の
イメージ。
Harmoniumはカナダのケベック州のバンド。
ケベック州はフランス語が公用語になっていて、その音楽シーンも欧米とは、
ひと味違った独自のものらしい。
フランス語の響きというのは独特で、あの鼻にかかった感じで歌われると、
一種の浮遊感というかドイツ語やイタリア語とは違った世界ができあがる。
Flute、Clarinet、Sax、Piccoloといった管楽器やMandlin、Accordionといった
アコースティック楽器が織り成す詩情あふれる穏やかなアンサンブルが良い。
エレピやベースがTradっぽさに現代的な表情を、Mellotronが幻想的な彩り
を加えて次から次へとジャケットのような視覚的な世界が繰広げられていく。
変拍子もさりげなく取り入れてシンセも幻想的なムードを醸しだす。
キモはフランス語のコーラスワーク。
ブリティッシュ・フォークとはまた違った不思議な味わいのある世界。
Hit-C Fiore