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猿之助十八番の内 伊達の十役(だてのじゅうやく)
足利家の重臣仁木弾正は、父赤松満祐の亡霊と出会い、鼠の妖術を授けられます。そして足利家打倒という亡父の大望を果たすことを決意。この野望を知った忠臣絹川与右衛門は弾正を捕らえようとしますが取り逃がします。その後、弾正と足利家の後見役大江鬼貫は結託し、当主足利頼兼を唆して高尾太夫へ入れ上げさせます。傾城を身請けしたとあっては、将軍家から非難の的となるだけに、与右衛門は忠義のために妻累の姉である高尾太夫を手にかけます。その上、高尾太夫の霊が乗り移った累も斬殺します。
一方、頼兼放埓により家督相続した幼君鶴千代に毒殺の危機が迫るため、乳人政岡は鶴千代とわが子千松のために御膳の用意を始めます。そこへ管領山名持豊の妻栄御前が病気見舞いに来訪。栄御前が菓子折りを差し出すと、すかさず走り出して口にする毒見役の千松。苦しみ悶える千松をよそに政岡が顔色一つ変えないため、栄御前は鶴千代と千松を取り替えていると勘違いし、悪事の証拠となる連判状を政岡に託します。そしてひとり残った政岡はわが子の死に号泣。この様子を見た八汐が斬りかかってくるのを政岡は返り討ちにします。しかし、連判状を一匹の鼠に持ち去られます。この鼠こそ妖術で姿を変えた仁木弾正でした。
足利家国家老の渡辺外記左衛門は、お家横領を企む悪人一味の罪状を訴え出ますが、鬼貫が山名持豊と通じていたため訴えは退けられます。しかし同じ管領職の細川勝元が姿を現すと、改めて後日に評定することを申し渡します。やがて裁断の下る日、与右衛門も弾正の悪事の証拠となる密書を手に問註所へ駆け付け…。
仙台の伊達家のお家騒動を土台にした作品で、七世市川團十郎が文化12(1815)年江戸河原崎座で初演した後久しく上演が途絶えていましたが、昭和五十四年に市川猿之助により復活されました。今回は猿之助の演出のもと、仁木弾正、絹川与右衛門、赤松満祐、足利頼兼、土手の道哲、高尾太夫、腰元累、乳人政岡、荒獅子男之助、細川勝元の十役を海老蔵が早替りで勤め、渡辺民部之助を獅童、八汐と祐念上人を右近、京潟姫を笑也、渡辺外記左衛門を市蔵、沖の井を門之助と清新で充実した配役によりご堪能いただきます。
初春花形歌舞伎 夜の部
当公演は終了
2010年1月2日(土)~26日(火)
劇場:新橋演舞場