「鬼面の研究」 栗本薫 講談社 ★★★★ | 水底の本棚

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日々読んだ本の紹介や感想を徒然なるままに書いていきます。

書店のオシゴトの様子なんかも時々は。
本好きの方、ぜひのぞいてみてください。

材で訪ねた秘境・鬼家荘(くがのしょう)。

嵐のために外界との連絡を断たれたロケ地で取材班が一人また一人と殺されていく。

鬼の子孫を自称し伝説と因習に生きる住民と、やらせ精神あふれる現代の鬼っ子・テレビ人間の間に起こる連続殺人事件の謎に、名探偵伊集院大介と森カオルの名コンビが挑む。



鬼面の研究 (講談社文庫)



※ねたばらしを含む感想です。未読の方はご注意を。






栗本薫にしては珍しい本格物。


「読者への挑戦」まで入っている!



首を切断した理由として、その首を利用してアリバイ作りをする、というのはなかなか印象的です。



トリックもなかなかですが、それより僕が面白いと思ったのは、


大介による鬼の子孫たちのルーツに対する推理。



村で鬼のシンボルとされている×印を、十字架を四十五度傾けたものと気づき、


彼らはかつて「隠れキリシタン」だったのではないか、と推理する。



近親結婚を繰り返すことによって生まれる鬼子の話(村では逆に「仏子」と言われているが)もおどろおどろしいムードを醸し出すのに一役買っている。