「幻獣遁走曲」 倉知淳 東京創元社 ★★★ | 水底の本棚

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しがない書店員である僕が、
日々読んだ本の紹介や感想を徒然なるままに書いていきます。

書店のオシゴトの様子なんかも時々は。
本好きの方、ぜひのぞいてみてください。

ある時は幻の珍獣アカマダラタガマモドキの捜索隊員、ある時は松茸狩りの案内人、そしてある時は戦隊ショーの怪人役と、いっぷう変わったアルバイトに明け暮れる神出鬼没の名探偵・猫丸先輩が遭遇した五つの事件。

猫コンテスト会場での指輪盗難事件を描いた「猫の日の事件」、意外な真相が爽やかな余韻を呼ぶ「たたかえ、よりきり仮面」ほか三編を収録した、愉快な連作短編集。


幻獣遁走曲 (創元推理文庫)



副題に「猫丸先輩のアルバイト探偵ノート」とあります。



好奇心の固まりで、どこにでも顔を出す猫丸先輩のバラエティに富んだアルバイトの数々。



猫コンテストの警備に始まり、


新薬開発の被験者や、


幻獣・アカマダラタガマモドキの探索、


デパート屋上のヒーローショーの着ぐるみにも入り、


果てはマツタケ狩りの案内人まで。


何というか、このヒトの選ぶアルバイトって、まったく統一性がないですね。


僕の一番のお気に入りは表題作「幻獣遁走曲」


しっかりとした伏線と、整合性のとれた着地。


短編とはかくあるべきというキレイにまとまった一作です。