今日も今日とて披露宴帰りに謎解きを始めた猫丸先輩。
新聞記事につられて現地へ赴くこともあれば、あちらの海では船頭修業。
絶妙のアドリブで舞台の急場を凌ぎ、こちらでは在野の研究家然とする。
飲み屋で探偵指南をするやら、悩み相談に半畳を打つやら…天馬空を行く不羈なるおかたである。
事ある所ないところ黒い上着を翻し、迷える仔羊の愁眉を開く、猫丸先輩ここにあり。
※ねたばらしを含む感想です。未読の方はご注意を。
連作短編集である。
倉知淳のレギュラー名探偵である猫丸先輩のデビューである。
この連作短編集は猫丸先輩が探偵役で登場するという以外に、いくつかの仕掛けがしてある。
「脇役のリレー」や「猫丸先輩登場のシーンでの不自然な一文に隠された暗号」や。
もっとも、これらは後からそう聞かされない限りはそう簡単に分からないこと(事前に気づいた人がいたら吃驚だ!)なので、作者のお遊び的なものだろう。
(若竹七海の「ぼくのミステリな日常」の踏襲でしょうか)
作品群の中で僕のお気に入りは表題作の「日曜の夜は出たくない」。
何となく暗い話の多い中で、ハートフルなストーリー。
猫丸先輩じゃないですけど、こっ恥ずかしくなるような話ではありますけどね。