初版か再版か、帯や函は残っているか、美麗か、もちろん作家の人気も――さまざまな条件で古本の価値は大きく変わる。
街場の古本屋は知っているのだ。
本当に残るべき文学、消えていく文学とは何なのかを。
読書好きのためにホンネで書ききった、「本邦初、読んで損はない、どころか読めば儲かる実益作家論」。
「作家の値段」と言っても、当然、作家さん本人の値段ではないですよ。もちろん。
近現代の有名作家さんたちの作品の古書価がどのくらいになるかというエッセイ。
大前提として、
市場価値とその本の価値は等価ではないと思います。
値段を決める要素のひとつとして希少性がありますが、
であれば、ベストセラーの書籍は価値がないってハナシになってしまいますからね。
当たり前のことだけれど、本の価値は人それぞれ。
で、この前提を踏まえた上で本書を読むのですが、
直木賞作家でありながら古書店店主でもある著者ならではの視点が面白いし貴重だと思います。
いやほんと。文学好きには隅から隅まで面白いと思いますよ。
古書価云々というよりも、入門的な作家論として読むとよいかもしれません。
ところで。
再販制度というのは賛否両論あり、これについて語りだすといくらでも話せてしまうので割愛しますが、
定価で販売することにはメリットもデメリットもあると思います。
書店員の端くれとして「本は定価で販売するもの」という刷り込みがあるので、
それが当たり前だと思っているのですが、でも時々自分で値付けできたら面白いだろうなあと夢想することもあります。
もちろん、入荷してくる本全部に値付けなんてしていたら仕事にならないんですけども。
その点では古書店がうらやましいなと思うこともあります。