右肩にある瑕に、君島典子は幼い頃から苦しんできた。激しい痒みと痛み。
どんな治療もほとんど効果がなかった。
病院を転々とした末に辿り着いた遺伝子治療という選択。
典子は主治医らとともに、人里離れた山奥にある研究施設へと向かう。
ところが、そこには何体もの惨殺死体が転がっていた!ここには凄まじく危険なナニカがいる…。
誉田哲也の作品がいきなり文庫?
……って、思ったら、書き下ろしじゃなくて、初期作品なのな。
でも、単行本の売上が年々落ちていく中で、
書店としては、こういう「いきなり文庫」という企画はやっぱり嬉しい。
もちろん、読者としても。
でも、いきなり文庫の企画ってたいていハズレなんだよなー。
ハズレはさすがに言い過ぎかもしれないけれど、少なくともアタリはあまりない感じ。
と思って、あまり期待せずに読んだら………
まあ、やっぱりフツーでしたね。
誉田哲也さんと言えば、「ストロベリーナイト」に代表される警察小説ですが、
初期のころはこういうホラー系作品も書いているんですよね。
リーダビリティは高く、するするっと読めるのですけれど、
だからと言って、それが面白さにつながるというわけでもなく、
どちらかと言えばあっさりし過ぎているという印象ですね。
正直言えば、もっとアクションやゴチャグチャやドロドロがあるのかなあと思っていたので、
犯人(?)の最期もあっけなくて拍子抜け。
なんか、途中で予算が尽きてしまったB級映画を観ているような……感じ?
エピローグのおかげで後味は悪くないのだけれど、
逆に言えば、こういう作品ってむしろ後味悪くてもいいんじゃないかな。
そうそう。
ところで、これ読んでいる最中に「テラフォーマーズ」を思い出したのは僕だけじゃないよね?