「銀翼のイカロス」 池井戸潤 ダイヤモンド社 ★★★★ | 水底の本棚

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しがない書店員である僕が、
日々読んだ本の紹介や感想を徒然なるままに書いていきます。

書店のオシゴトの様子なんかも時々は。
本好きの方、ぜひのぞいてみてください。


銀翼のイカロス


半沢直樹シリーズ第4弾、今度の相手は巨大権力!
新たな敵にも倍返し!

頭取命令で経営再建中の帝国航空を任された半沢は、500 億円もの債権放棄を求める再生タスクフォースと激突する。
政治家との対立、立ちはだかる宿敵、行内の派閥争い。
プライドを賭け戦う半沢に勝ち目はあるのか?



「やっと出たねー。半沢直樹!」


「ああ。週刊ダイヤモンドで連載していたときから楽しみにしてたもんなあ」


「ちょうど、ドラマで盛り上がっていたときだったから、書店員としては今出せよって思ったよね」


「そうだよな。これがもし昨年の今頃出ていたら倍は売れるよな」


「まあ、今でもそれなりには売れると思うけどね」


「今回はダイヤモンド社も力入れていて、ディスプレイコンテストなんてのもやってるもんなあ」


「入賞店舗には池井戸潤さんがサイン会しに来てくれるんだって?」


「そうそう」


「それ自体は悪いハナシじゃないんだけどね、サイン会って絶対売れるってもんでもないからねえ」


「漫画家さんやタレントさんなんかだとまたハナシは違うんだけど」


「作家さんの場合は難しいものがあるよね」


「ウチもほら、昨年、人気作家のHさんが来てくれたろ?」


「そうだね。ベストセラー作家と呼んでいい方だったけれど……」


「それでもやっぱりサクラを用意しないといけなかったもんな」


「本が売れているからってサイン会が盛り上がるかはまた別のハナシ。だね」


「そうだな。さて、それはさておき、感想だけど」


「パターン化しているよね、このシリーズって」


「半沢が難題に挑む中、内外から自分の地位や利権に固執する輩がそれを妨害しようとして……」


「半沢は苦戦するんだけど、相手には必ず後ろ暗いところがあってさ……」


「それを半沢が暴き出して、一発逆転! そのパターンだよな」


「正義は勝つ、ってヤツだね」


「ホント、ワンパターンだ」


「どの作品もつまるところ、このパターンだからね」


「でも、それがいいんだよな。仮面ライダーだってウルトラマンだって水戸黄門だって同じだ」


「勧善懲悪っていうのはパターン化されていていいんだよね。それを楽しみに読んでいるんだから」


「今回も半沢がライバルをやり込めるシーンがあったけど」


「いわゆる、倍返しってやつだね」


「あれがなかったら、物足りないよな、たとえワンパターンだって言われてもさ」


「開発投資銀行の谷川さんが相手から一本とったシーンも爽快だったよね」


「うんうん。ああいうシーンがあるからこのシリーズは面白いんだよな」


「ドラマでウケたのはああいうところだしね」


「ところで、曾根崎次長に謝罪させる場面はちょっとドラマに引きずられている感じもなかったか?」


「そうそう。曾根崎次長が土下座でもするのかと思ったよ」


「映像化したときの絵面が見えた気がしたなあ。そういうのも意識しているのかと思った」


「また、ドラマの続編があるといいね」


「そしたら本も売れるしな(笑)」