東京サンシャインボーイズの脚本家として「12人の優しい日本人」などを世に送り出した著者によるエッセイ集。
抱腹絶倒のエッセイ集。
特に第二章の若き日の失敗談(と言っては可哀想か)は最高。
気に入っているものを列挙する。
母親のやっている喫茶店を任された三谷青年。
アイスとホットのコーヒーしか出せずに結局いたたまれなくなって店を逃げ出す「まあ、これも夏のいい思い出だ」。
血気盛んな青年が喫茶店の店長など任されたら相当張り切りそうなものなのに、そうでないところが彼らしい。
「馬鹿としか言いようのない話」は、彼女がかつての恋人とヨリを戻している現場を目撃する三谷クンの現実逃避ストーリー。
怒るわけでなく、悲しむわけでなく、ひらすら自分の都合の良いように思い込むさまが哀れを誘って…申し訳無いけど笑える。
「ちゃんこ」もやはり悲恋の物語。
「馬鹿としか~」の彼女と同一人物であれば(そんな気がするが)ますます可哀想で…やはり笑える。
三谷幸喜の恋愛話はとにかく笑えるのだが「クリスマス料理」はその中でも白眉だ。
文章の組み立て方からしてウマイ。
オチまでの持っていき方はまるで良質の推理小説を読むようだ。