「突然、僕は殺人犯にされた ネット中傷被害を受けた10年間」 スマイリーキクチ 竹書房 ★★★ | 水底の本棚

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しがない書店員である僕が、
日々読んだ本の紹介や感想を徒然なるままに書いていきます。

書店のオシゴトの様子なんかも時々は。
本好きの方、ぜひのぞいてみてください。

1999年、身に覚えのない事件の殺人犯だとネット上で書き込まれ、以降10年間に渡って誹謗中傷受け続けたお笑い芸人のスマイリーキクチ。

そんな顔の見えない中傷犯たち、そして警察と検察、すべてと闘い続けた10年間の記録が遂に文庫化。ネットのトラブルに巻き込まれないための対策マニュアルも改訂版で完全収録。


突然、僕は殺人犯にされた (竹書房文庫)



ネットというものは本当に便利だなあと思う一方で、


こんなもの無くなってくれても一向に構わないと思う自分もいる。



ブログなんぞ書いている身でどの口が言うか、と思われるだろうけれど、


正直、ツイッターとかフェイスブックとかそういうの、まったく興味がない。



このブログは自分の備忘録として書いている。


(じゃないと昨年読んだ本の内容も忘れる)


だから、あまり他人に読んでもらいたいと思って書いてはいないし、


(読んでもらったら嬉しく思うのも事実だけれど)


そもそも僕に、他人を喜ばせ、楽しませるような文章が書けるわけもない。


備忘録をノートに手書きするよりも、


キーボードを打った方が手軽だからパソコンを使っているだけだし、


外でも確認できるからWordではなくブログを利用している。


それだけのことだ。


何なら、なくなってくれてもたいして困らない。




そんなわけで、あまりネットを重要視しているわけでもないし好きでもないのだけれど、


だからと言って、この風評被害はネットが存在しなければ、起こり得なかったかと言うような、


ネット不要論にもっていこうと思っているわけではない。



「顔が見えない」というネットの匿名性がこの犯罪を増長させたという側面は否定しないが、


一番の問題は、


芸人は叩いても構わないという意味不明の思い上がりと、


「赤信号皆で渡れば怖くない」式のリスキーシフトという集団思考だろう。



スマイリーキクチさんだけに起こることではない。


次に誰が被害者になってもおかしくはない。


それはインターネットの存在とは無関係に、どこでも起こり得ることなのだ。


それを忘れてはいけない。