「仮面同窓会」 雫井脩介 幻冬舎 ★★★☆ | 水底の本棚

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しがない書店員である僕が、
日々読んだ本の紹介や感想を徒然なるままに書いていきます。

書店のオシゴトの様子なんかも時々は。
本好きの方、ぜひのぞいてみてください。

高校の同窓会で、久しぶりに再会した旧友4人。

かつて生徒を囚人扱いしていた教師・樫村の変わらぬ姿を見た彼らは、恨みを晴らそうと仕返しを計画。

予定通り、暴行して置き去りにするも、翌日なぜか樫村は暴行現場から2km離れた溜め池で溺死体となって発見された。

いったいなぜ?

そして、4人のうち誰が彼を殺害したのか?

それぞれが疑心暗鬼に陥る中、新たな犠牲者を出した殺人事件が、高校時代の衝撃的な秘密を浮き彫りにさせる。

過去と決別できない者たちを巧妙に追い詰めていく悪魔の正体とは?


仮面同窓会


※感想はねたばらしを含みます。未読の方はご注意を。







これは……正直、賛否両論別れるだろうなあ……。



兄えもん……。



すんなり「二重人格」というオチが待っているとは思っていなかったけれど、


バカミスと紙一重のオチ……。


この脱力系のオチをどう評価すべきか……。


正直困る。


ここまでの文章でやたら三点リーダが多い……どれだけ困っているかが伝わるかと思う。



もうひとつ仕掛けられた叙述トリックは、


シンプルな機械系トリックと組み合わされて、これは巧くやられたなという感じ。



でもさ。


この盗聴器どこから電源とってるの?


24時間フル稼働でそんなに長持ちする電池ないでしょ。



まあ、それはさておき。



何と言ってもこのミステリの凄み(?)はラストの謎解き。


イヤミスという意味で言えば、これほど後味の悪い終わり方もないと断言できます。


湊かなえがナンボのもんじゃい、ってなもんですよ。


「よいしょー!」

「洋輔、声が小さい!」


のくだりは、できそこないのコメディのようで、


それがかえって恐怖を誘います。



だけど、これを認められない人もたぶん多いと思う。


僕は嫌いじゃないんですけど……。



復讐が動機でありながら、


どう考えても殺人を楽しんでいるだけのようにしか思えないあたりとか、


受け入れられない人はたくさんいそう。


そして、どちらかと言えばそちらの方がまともな評価なんじゃないかなーって気もするんですよね。