膨大な西村作品の中から、トリックを駆使した作品をメインに、本格ミステリーの傑作を集めた作品集。
「オートレック号の秘密」「超速球150キロの殺人」「トンネルに消えた…」「三十億円の期待」等に加え、「カーフェリーの女」「鳴門への旅」「グリーン車の楽しみ」の3作品は、今回初めて収録される。
西村京太郎も過去の作品はそう馬鹿にしたもんでもないのですよ。
ものすごい面白いわけではないし、昔の作品だからトリックもシンプルで今では使い古されたものも多いのは確かなんですけどね。
物語の背景も時代がかっていて違和感あるしなあ。
ちょっと待て。そこは携帯電話で連絡すればいいんじゃ……。
あ、そうか。
ケータイなんてまだないんだ!
なんてこともしばしば。
それでも、暇潰しには悪くないですよ。
けっこ面白いです。
この短編集でのお気に入りは「三十億円の期待」。
日本ダービーで大本命の馬に乗りながら落馬で大穴をあけてしまったジョッキー。
彼がその後2戦続けて八百長を疑われるような大失態で惨敗した理由は……?
犯人が犯行におよんだきっかけがラスト一行で明かされるのですが、それがなかなか効果的です。