大好きな作家の新刊を開く、この喜び! 本のためなら女房の小言も我慢、我慢。
眺めてうっとり、触ってにんまり。
ヒーローの怒りは我が怒り、ヒロインの涙は我が溜め息。出会った傑作は数知れず。
運命の作家S・ツヴァイク、目下の“最高"N・デミル、続編が待ち遠しいT・ハリスに、永遠の恋人M・H・クラーク……。ご存じ読書の達人、児玉さんの「海外面白本探求」の日々を一気に公開。
自分ではけっこう本の虫だと思っている。
そもそも書店員なんて酔狂な職業に就いている時点で、本が嫌いなわけがない。
あ、でも余談だけど。
書店員も取次のヒトも版元のヒトも実はあまり本を読まない。
いや、もちろん他の業界の人たちよりも総じて読書量は多いと思うけど、おそらくみなさんが想像しているよりもはるかに本を読まない。
僕くらいの読書量でもかなりトップクラスだ。
少なくとも、今までに出会った書店員、版元営業さん、取次さんのひとたちの中で自分より本を読んでいる人には会ったことは……なかったのだが……東京創元社の戸川顧問にお会いしてしまったので、あっさりそれは覆された(笑)
閑話休題。
も一回書くけど、自分ではそれなりに読書量があると思っている。(質はともかくとして量では)
でも、児玉清さんの前ではそんなこと恥ずかしくって口にすることもできない。
児玉さんの読書量に比べたら、僕のそれなんて屁みたいなものだ。
児玉清さんの本に対する執着、そして愛情。
それらがたっぷり詰まった一冊。
読書家もそうでない人も、きっとこのエッセイ集を読めば、一冊くらいは「読んでみたいな」と思う本があることだろう。